横浜・野毛の「横丁」仕掛け人! オムニバス代表・新澤聖樹氏が横丁を作るこれだけの理由
酒呑みの聖地・野毛で近年、横丁が増えているのをご存じだろうか。現在、野毛に8つある横丁のうち5つでプロデュースや運営を行うのが、株式会社Omnibus(オムニバス)代表取締役の新澤聖樹(にいざわ・きよき)氏。なぜ野毛で横丁をやるのか、その理由と可能性について取材した。
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尖ったコンセプトの焼きそば専門店で、野毛での存在感を強める
オムニバスの創業は2007年。新澤氏の地元である横浜市の上大岡でドミナント展開していたが、2016年に『野毛焼きそばセンター まるき 野毛本店』をオープンしたことで潮目が変わる。
中国料理のコックだった新澤氏は、「日本の焼きそばこそ、酒のつまみにも〆にもなる最強メニュー」と考え、焼きそばを主力商品にした。その尖った店づくりが当たり、10坪で月商500万円を売る繁盛店に。なかなか物件が出ないと言われる野毛で認知され、徐々に物件の話が舞い込んでくるようになったという。
一方、横丁展開の発端となったのは、2017年4月に開業した『上大岡燦々横丁』。並行して6月には、『野毛たてのみ横丁』をオープンし、自社テナントとして『やきとり 煙巻』を出店。ただし、ここは営業がふるわず、3年で撤退という挫折も味わっている。
「空中階30坪の物件で、弊社としては初の大箱チャレンジでしたけど大失敗。自分には大箱は向いてないと痛感し、これ以降は10坪台の規模で出店するようになりました」
建設部門を自社で立ち上げ、コストをかけずに店を作る
新澤氏のもとへ話が舞い込むのは、横丁の運営実績のみならず、自社で内装を手掛けていることも大きい。
「実はまだ2店舗くらいのとき、当時のスタッフが勝手に海の家を契約してきちゃったんです(笑)。約1か月で建物を作らなきゃいけないんだけど、現金もあまりなかったから自分たちで作るしかない。持っていた工具はニッパーくらいでしたけど(笑)、何とか間に合って、黒字で終わることができた。なんとかなるって自信にもなりましたし、自分たちで内装を作れるなら、失敗しても自分たちで業態変更できる……と、重苦しく考えずに出店できるようになりました」
内装工事に詳しい新澤氏のもとには、次第に飲食店仲間だけでなく、野毛で知り合った異業種の人たちからも連絡が入るように。同業者の気持ちがわかる分、水漏れなどの急なトラブルには即日駆け付けるなど、内装を作って終わりではなくメンテナンスまで手掛ける点も評判となり、次第に仕事が増えてきたため2019年には内装部門を別事業として立ち上げている。
