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オープン1年未満で坪月商37万円超え。奥渋谷『Arbre』、目指すは「10年愛される店」

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革のコースターは、友人から贈られたのをきっかけに愛用している

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和をベースにフレンチのエッセンスが光る“小料理屋”

こうした経歴は、センスが光る料理の数々に生かされている。“小料理屋”を掲げている同店だが、料理は居酒屋の定番メニューにフレンチのエッセンスを取り入れた仕立て。

例えば白和えは旬のフルーツとアンディーブを、豆腐とブルーチーズの衣であえる。リンゴとアンディーブ、ゴルゴンゾーラを組み合わせたフレンチのベーシックなサラダから着想した一品だ。また、カニと根セロリを使った一皿は、卵黄で作るオランデーズソースのイメージでエストラゴン入りの黄身酢を合わせている。和洋をうまく融合させた料理は、外国人にも受けが良いという。

『〆鯖のゼリー寄せ』1,400円は〆鯖をビーツ、紅しぐれ大根、ガリなどと共に重ねた

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料理は佐藤氏が1人で作るので素早く提供する工夫も。白子焼きは、あらかじめ仕込んでおいた春菊のソースを皿に流して白子を盛り、おかひじきを添えるだけ……といった具合に一皿に盛り付けるパーツを少なくして営業中の手数を減らす。一見するとシンプルだが、春菊のソースのように意外性のある組み合わせにすることでお客の心をつかむ。一方で、豚足をフレンチの技法で煮て丁寧に下ごしらえするなど、仕込みには手間をかけている。

『白子焼き』1,600円

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小ポーションで多種楽しめる料理と、個性が光るアルコールの品ぞろえ

また、つまみは600〜950円、冷菜・温菜は1,000円台前半、焼き物は1,000円前後と1品あたりの単価が安く、かつポーションが少なめなのもお客にとって魅力的だ。

「日本人は居酒屋や天ぷら、寿司など、少しずつ色々なものを食べられる店が好きですよね。当店の客単価は8,000円くらい。同じ値段でも食べた品数が多い方が満足度は高いはずです。それにこれくらいの価格設定でしっかり食べて飲めるのであれば、何度も通っていただけるのではないかと思いました。メニューの内容も頻繁に変えて、短いスパンで来店しても楽しんでいただけるようにしています」

“つまみ”の料理や白和え、手羽餃子は定番。その他のメニューは随時入れ替わる

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幅広い客層を意識して、アルコールも幅広く、ビール、日本酒、焼酎、ワイン、ウイスキーとジャンルにこだわらずラインナップしている。ワインはナチュラルワインをグラスで白・赤・オレンジワインを各1種類、ボトルは5〜6種類、日本酒は副原料にフルーツやハーブ等を使ったクラフトサケが3種類など、個性があって興味がそそられるアイテムをセレクト。リクエストがあれば料理とのペアリングも提案している。

「料理を作る時はいつもアルコールとの相性を考えています。和食をベースにフレンチの要素を取り入れた自分の料理は、ナチュラルワインにもクラフトサケにも合いますよ」

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難波美枝

ライター: 難波美枝

ライター・エディター。プロ向けのフランス料理専門誌の編集部におよそ10年在籍した後、フリーランスに。料理雑誌やワイン専門誌、Webなどで星つきレストランからビストロ、バルまで、幅広く取材。