オープン1年未満で坪月商37万円超え。奥渋谷『Arbre』、目指すは「10年愛される店」
今も話題の店が次々と登場している奥渋谷。このエリアで2023年4月にオープンした『Arbre』は、オーナーの佐藤幹樹氏がフレンチや居酒屋での経験を集約させた、奥渋谷ならではの新しいスタイルの小料理屋だ。早くも地元住民に支持されている同店の店づくりについて、佐藤氏にお聞きした。
なじみのある奥渋谷で「友人が気軽に立ち寄れる店」を
店名の『Arbre』はフランス語で木の意。オーナーである佐藤幹樹氏の名に由来する。入口の引き戸やテーブル、カウンター、椅子、ヨーロッパのアンティークの食器棚など随所に木材を採用し、壁一面は和室をイメージした落ち着いたモスグリーンに塗装。和と洋がうまくミックスされたシンプルかつモダンな雰囲気だ。作家による革のコースターや陶芸が趣味の友人に依頼した箸置きなど、人の手触りが感じられる小物にも佐藤氏のセンスが感じられる。
店があるのは奥渋谷の路地。「友人が気軽に立ち寄れる場所にあって、料理もサービスも1人で回せる規模の店にしたい」と、独立前に勤めていた居酒屋『LANTERNE』のある代々木上原から近いエリアを中心に探して見つけた、8坪の物件だ。
「流行のエリアだと客層が幅広すぎて単価が安定しない。でも奥渋谷はいったん流行が落ち着いていい意味で客層が淘汰されています。特に夜は感度が高くて良いお客様が多いので、飲食店にとっては魅力的なエリアではないでしょうか」
画像を見るフレンチでの修業を経て『LANTERNE』で店づくりを学ぶ
佐藤氏が料理人としてのキャリアをスタートさせたのは、フランス料理店。日本橋にあったレストラン『オーグードゥジュール メルヴェイユ』と、同店のシェフが独立開業した三越前『ラ ぺ』に計4年半勤めた後、中目黒の人気ビストロ『Bistro Tatsumi』で修業。日本料理店でも働いた。
それまでは30歳前後で独立したいとぼんやり考えていたが、この頃から和食をベースにしたカジュアルな店をやりたいと具体的なイメージが固まってきたという。そこでカジュアルな業態での経験を積むため、若い客層に人気がある『LANTERNE』に入店。4年働き、マネージャーも務めた。
「店づくりに強みがある『LANTERNE』で働いたことで、装飾の細かい所まで気を配りトータルで店を創るということを学びました。それまでは料理人として料理を作ることしかしてこなかったので、視野が広がりましたね」