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月商200万円のリアル深夜食堂。西麻布『夜寄』に学ぶ「お客さま都合」のワンオペ経営

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平日の18時から客が続々と来店し始める。混み合うと友寄さんがカウンターの中を案内し、奥の席へ案内することもよくある風景

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サービススタッフの経験を活かして、調理中もお客とコミュニケーション

ワンオペでスムーズに料理を提供するためには何か工夫をしているのだろうか。

「たとえばオーダーをいただいたものがパスタだったとします。そうすると、最低でも麺の茹であげに10分かかるので、その間にすぐにお出しできるおばんざいなどが必要か伺い、少しの間そちらのお客さまとお話しをします。それは事前の仕込みなど、調理にかかる時間をスムーズにする工夫というよりも、お客さまにお待ちいただく時間を感じさせないよう、丁寧に接客を行うということです」

これまでの店ではサービススタッフとして働いていたという友寄さん。当時の経験から、「料理人の方が調理している間、お客さまとコミュニケーションをとることは大事な時間だと思っていました」と話す。

お店では「このおばんざいもう少し辛くできる?」「今日、この食材とこの食材あるから、あの料理作れるじゃん!」とお客から提案されることも多いという。パスタを作りながら、魯肉飯と麻婆豆腐を作り、その合間におひたしを盛り付ける、なんて風景も日常茶飯事だ。

調理に時間がかかる料理や、特別に仕入れが必要なものは予約オーダー制に

では、お客の要望に応えるのが難しい場合はどうするのだろうか。

「常連の方が多いので、特別に仕入れる必要があったり、調理に大幅な時間がかかるものは予約してくださいとお伝えしています。例えばハマグリが食べたいと言われたら、予約していただく。当日は他のお客さまにも『今日、ハマグリありますよ』とお声がけして、食べたい方にお出しするようにしています」

予約なしの来店にも対応するが、可能な範囲で事前に電話予約をしてもらっているという。また一見の方には、メニューがない旨をしっかりと伝えることも大切。友寄さんは、そうした店の特性を理解したうえで来店してもらいたいと考えている。

また、メニューがないからこそ上手く献立を考えることで、食材ロスが出づらいというメリットもある。来店客はほとんど予約での来店のため、友寄さんは予約状況を見ながら、一週間の食材の配分を考えるそう。消費期限の比較的長い野菜などは一週間かけて、さまざまな料理で活躍させる。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。