「元祖・最強レモンサワー」の『素揚げや』、低アル戦略で“ストロング系回避”のニーズ取り込む
凍ったレモンを氷代わりにする「(元祖)最強レモンサワー」で人気の『素揚げや』が、4月半ばから低アルコール及びノンアルコール商品を大幅に導入する。大手酒造メーカーがストロング系缶酎ハイから撤退の意向と伝えられる中、その逆風をビジネスチャンスととらえ、追い風とする戦略である。
【注目記事】わずか10坪で月商650万円を誇る『食堂かど。』。異例の「三毛作営業」が功を奏す
シュリンクするストロング系市場
缶酎ハイのストロング系はアルコール度数8%以上と高濃度で、少量で酔える商品として人気を誇っていた。しかし、2024年になってから、その流れは目に見えて変わってきた。1月末にアサヒビールが今後発売する缶酎ハイの新商品のアルコール度数を8%未満にすると報じられ、2月に入るとサッポロビールも同様の方針であると伝えられた。
こうした動きの背景にあるのは今年2月19日に厚生労働省が発表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」である。この中で1回の飲酒機会で純アルコール摂取量60g以上は避けるべき飲酒の例としている。ストロング系缶酎ハイ8%の場合は500ml缶2本でおよそ64グラム、9%の場合は72グラムとなる。
分かりやすく言えばストロング系のロング缶2本の飲酒は「さまざまな身体疾患の発症や、急性アルコール中毒を引き起こす可能性があり、また外傷の危険性も高めるものであり、避けるべき」(健康に配慮した飲酒に関するガイドラインP5)ものであるということ。
そもそも厚労省は「健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)」(2000年2月)において、「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコール量20グラムとしていた。これはアルコール度数5%のビール中瓶1本(500ml)に相当し、度数8%のストロング系酎ハイ500mlでは32グラム、同9%では36グラムと大幅に目安を超過することになる。
大手メーカーがストロング系から手を引くのはこうした事情と無縁ではない。実際、「…ストロング系酎ハイの市場は、調査会社インテージによると、20年に約1,776億円だった販売額が23年には約1,365億円にまで減少した」(日本食糧新聞電子版2024年3月15日、ストロング系缶酎ハイ市場の縮小から~日本のアルコールの飲み方の変化)とされ、市場規模はおよそ4分の3にシュリンクしている。
