「唐揚げ店」の倒産が過去最多。ブームの下火、鶏肉や油の値上げなども影響
帝国データバンクが「唐揚げ店」の倒産発生状況について調査・分析についての調査結果を発表した。今回はその内容について詳しく紹介する。
集計期間:2024年3月31日まで
集計対象:負債1,000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク
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前年比の9倍、過去最多27件の「唐揚げ店」が倒産。実態はさらに多い
2023年は唐揚げ店の倒産がかつてないペースで急増した。持ち帰りを中心とした「唐揚げ店」経営業者の倒産は、同年に27件発生した。前年の9倍に達し、これまで最多だった21年(6件)を大幅に上回って過去最多を更新した。
画像を見る倒産した唐揚げ店は、オリジナルブランドの唐揚げ店のほか、大手唐揚げチェーンのFC店、本業以外のサブビジネスとして唐揚げ事業に参入した事業者など様々だった。ただ、倒産した事業者の多くが1~2店舗を展開する小規模な経営業者で、水面下の閉店や廃業などを含めれば、より多くの唐揚げ店が市場から退出したとみられる。
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鳥インフルや食用油の値上げ、巣ごもり需要の下火も影響
2023年は、唐揚げビジネスにとって非常に厳しい1年となった。唐揚げの原材料として使用される輸入鶏肉は、鳥インフルエンザの流行で供給量が減少した。また、飼料価格の高騰で牛肉・豚肉価格が上昇し、割安な鶏肉を求める消費国が増えたことも重なり、国内の鶏もも肉卸売価格は5年間で約2割上昇した。
調理に必要な食用油も、キャノーラ油では5年間で約7割値段が上昇。価格転嫁が難しい小規模店の経営にとって打撃となった。
画像を見るまた、コロナ禍の巣ごもり需要も下火となったことも影響したとみられる。さらに昨今の物価高で消費者の節約志向が強まり、専門店より3割程度安いコンビニやスーパーなどの総菜品、半額以下の冷凍唐揚げなど、割安な競合製品に顧客が流れたことも響いた。
一方で、吉野家ホールディングスは新サービスモデルの出店100店舗を計画しており、テイクアウト・デリバリー専門店の出店に攻勢をかけるなど、テイクアウトに力を入れている企業もある。足元では唐揚げビジネスに代わり、おにぎり店など新たなテイクアウトビジネスも台頭してきた。ブームから2年が経過し、唐揚げブームの一巡もみられる中、各社の中食ビジネスに対する方針転換が注目される。