独学で三つ星に! ニコ・ロミート氏が掲げる8つの料理哲学。『ブルガリ』とコラボを続ける理由も
世界で8番目の「Bvlgari Hotels & Resorts(ブルガリ ホテルズ&リゾーツ)」のプロパティとして2023年4月にオープンした「Bvlgari Hotel Tokyo(ブルガリ ホテル 東京)」。そのシグネチャーダイニング『イル・リストランテ ニコ・ロミート』は開業からわずか8か月で「ミシュランガイド東京2024」の一つ星に輝いた。
監修はイタリア中部アブルッツォ州出身のニコ・ロミートさん。地方の農村を拠点に8つの星を持つ世界的スターシェフが、世界最高峰のジュエラー『ブルガリ』とタッグを組むのはなぜだろうか。先ごろ来日したニコさんに聞くと、そこにはイタリアらしい文化的背景があった。
2023年12月、「ミシュランガイド東京2024」の一つ星に選ばれた『イル・リストランテ ニコ・ロミート』。「ブルガリ ホテル 東京」の40階に位置するイタリアン・ファインダイニングで、2023年の新規開店のうち最も話題を集めた一軒だ。これによりニコさんは、アブルッツォ州で姉のChristiana(クリスティアーナ)さんと共に営む『Reale(レアーレ)』(「イタリア版ミシュランガイド2024」三つ星、「2024年版世界のベスト50レストラン」19位)をはじめ合計8つの星を持つこととなった。
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昨年(2023年)末、東京店のレジデントヘッドシェフとしてその手腕を発揮したMauro Aloisio(マウロ・アロイシオ)さんとともに参列した「ミシュランガイド東京2024」授賞式では、世界的なスターにも関わらず常にマウロさんを立て、穏やかな笑みを浮かべていた。
日本では「イタリア料理に厳しい」などと噂されることもあるフランス発のレストランガイドブック「ミシュランガイド」を、イタリア人のニコさんはどう捉えているのだろうか。
「確かに私はイタリア人ですが『ミシュランガイド』に評価をしていただけることは嬉しいですよ。なぜなら私は料理の道を目指して料理の専門学校に通った経験があるわけではなく、また、有名なシェフの元で厳しい修業をしたこともなく、“私が本物だと考える私らしいイタリア料理をつくりたい”という志だけを持ち、試行錯誤を繰り返しながら独学で料理をつくり出してきました。これはファインダイニングのシェフとしてはあまり前例のないキャリアだと思います。
このような背景もあり、星をいただけたということは、自分がやってきたことは間違っていないと認めていただけたようで、誇らしく思いました。また、アブルッツォ州カルテル・ディ・サングロという地方の村、イタリア語で表現するなら“isolata(イゾラータ/孤立した、分離した)”、つまり大都市から切り離された田舎の小さなレストランに光を当てていただいたことも光栄でした」
