住宅街でも坪月商40万円。『新宿 六』姉妹店『東高円寺呑場 ニコロク』に週5で通いたくなる理由
「自分たちが食べたいか」を起点にオーナーと料理長が考案するメニュー
料理は『新宿 六』のラインアップをベースとした創作料理。「自分たちが何を食べたいか」を起点に、人気メニューや提供しやすいものを選んだ。店舗が狭く調理スペースが限られるため、店に合わせた小さめのポーション・小皿料理をメインに。調理は事前に仕込む、または「茹でる・蒸す・煮込む」に限定した。
『新宿 六』では基本的にすべて固定メニューだが、『ニコロク』ではシーズナルメニューも取り入れている。たとえば、黒板メニューでは「〇〇フェア」と銘打って、前職の経験を生かしたイタリアンフェアや、社員旅行で訪れた北海道の魚介をふんだんに使ったフェアなどを実施。型にはまることはなく、美味しさを軸に柔軟に提供メニューを更新し、お客を飽きさせない。
メニューは、中村氏と小林氏を中心にアイデアを出し合って検討する。特に味付けについては「作る人間が自信をもって美味しいと思うものでないと作っても面白くないし、自信を持って提供できない」と、総料理長の小林氏に絶大な信頼を寄せている。ただし、盛り付けなど気になった点があれば中村氏が指摘することも。顧客視点の意見を、互いに忌憚なく出し合うことでバランスをとっている。前職のグローバルダイニングでともに研鑽を積んだ関係性や経験が活かされているのだろう。
誰もが必ず頼む人気メニューは「前菜 三種盛り」(1,280 円)。9種類の前菜から3つ選べて、一人呑みにもうってつけだ。茹でものでは「厚切りゆで鶏」(620円)「ゆで牛タン」(780円)も大人気。「少しでも冷めると肉の繊維が締まってしまうため、売り切れゴメンで、毎日時間や温度を見ながら仕込んでいます」と星氏。
ひときわ目を惹くのは「お猪口茶碗蒸し ~牡蠣とイクラのせ~」(680円)。鶏肉・椎茸・タケノコが入った茶碗蒸しに牡蠣をそえ、上から大量のイクラを乗せることで、SNS映えする逸品に仕上げている。
ドリンクはビール・サワー・焼酎・ワインと、幅広い層に向けて用意。なかには「柚子ジントニック」(780円)や「ほうじ茶ジントニック」(780円)、「スパイス焼酎 カルダモン」(600円)などキャッチーなものも。当初は行っていなかった焼酎のボトルキープも、常連客からの要望を受けて開始した。地域に合わせて細かいチューニングを重ねる姿勢も、常連客の心を掴んで離さない理由の一つなのだろう。
