口コミ評価星一つの人気店・神保町『オトナリ珈琲』。カフェは“必要ない場所”だからこそ、必要
日本全国のロースターから厳選した月替りのスペシャルティコーヒーと自家製スイーツを提供するカフェ『オトナリ珈琲』(神保町)。Google Mapの口コミ評価は星1.9(2025年1月21日時点)ながら、常に人が絶えないほどの人気ぶり。その仕掛けを紐解くとともに、「カフェは、生きる上で必要“ではない”からこそ必要」と語る店主・しば田ゆきさんに、カフェ・喫茶店の未来を問う。
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異国での心温まる体験が、カフェという場づくりを志したきっかけ
喫茶店——、それはいつの時代も、私たちの暮らしの隣にあり続けてきた。時に、文化人たちがひとときの休息を求めて訪れる安らぎの場であり、時に、大衆が仲間と共に集う社交場でもある。つまりそこには、時代を生きる人々の「人間模様」が表れるといってもよいだろう。
2021年、しば田ゆきさんが神保町の古いコインランドリーの上に構えた『オトナリ珈琲』は、日本各地から厳選したロースターのスペシャルティコーヒーを月替りで提供するカフェだ。メニューはコーヒーと少しのその他のドリンク、それと自家製スイーツのみ。彼女はここで、「誰かの安心できる場所でありたい」と、日々お客を迎えている。
しば田さんが、カフェという場を自身が進む道に選んだきっかけは、ワーキングホリデー先のオーストラリアで出合った1軒のコーヒーショップだったという。それぞれに行きつけのカフェがあり、1日に何度も店に立ち寄っては2、3言葉を交わして後にするオーストラリアの人々とカフェとの関わり方が、彼女の目には新鮮に映ったそう。
「彼らにとってカフェは、仕事と家との間にごく自然にある生活の延長線上の場所なんです。過ごし方や使い方は多様。でもそれぞれの人にとって大切な場所であるということにとても惹かれました」
慣れない異国で孤独を感じていたというしば田さんだったが、「いつものカプチーノにワンシュガーだね」と、声をかけてくれたマスターの言葉に大きな安心感をもらったことが転機に。「コーヒーを通じて、日常の通り道に心安らぐ場所をつくりたい」と決意した瞬間だったと振り返る。
