月商1,300万円の中目黒『土鍋ご飯いくしか』。“おかわり自由”で1時間待ちの定食屋に
開業から3か月で赤字脱却、月商1,300万円の繁盛店へ
飲食業での実績がないまま渋谷PARCOに出店するのはハードルが高そうに思えるが、幸いにも知人を通じて話が進んだという。渋谷PARCO側も、旬のエンターテイメント企業からの新しい風を歓迎する姿勢だったそうだ。
客層は、渋谷という場所柄から若い世代が中心かと思いきや、渋谷PARCOの1階にハイブランドの店舗が軒を連ねていることもあり、意外にも富裕層が多い。そのため、一般的なチェーン店などと比較して定食の価格も高めに設定した。
とはいえ、オープンから3か月間は家賃の高さもあって赤字が続いた。当時は現在の半分の人数で営業を回しており、厳しい状況が続いたそうだ。しかし、そこから事態は好転し、13.5坪の店で月商1,300万円を達成するまでに成長した。
「映える定食」の写真をInstagramで毎朝発信し続けたところ、「土鍋ご飯おかわり自由の定食」が食に関心が高い層の目に留まり、続々と来店。彼らがさらに店の情報をSNSで拡散してくれる好循環が生まれた。内装のデザインは店長の加藤さんが手がけ、あくまでも主役のご飯が美味しそうに見える点にこだわったという。
2号店はあえて路面店を選択、新たな挑戦へ
「2号店を出すにあたり、商業施設からのオファーが多数あったのですが、1号店とは違う形でお店を作っていきたい、という思いが強くありました」
まず考えたのは、路面店での挑戦だ。場所は、1号店のサポート体制が手薄にならないよう、渋谷近辺を条件とした。
「渋谷から電車1本で行けるところで物件を探した結果、建物のデザインが面白い物件を見つけ、中目黒への出店を決めました」
この店の主役は、あくまでも土鍋ご飯。シンプルな内装で木を使った和風の温かい空間で、定食が美味しそうに見えるインテリアにこだわったという。デザインは、加藤さん自身が手がけた。
「3Dレイアウトを学び、どの位置にどのぐらいのサイズの棚を配置すれば効率的に作業できるか、スタッフの動線はどうあるべきかなど、すべてを計算しました。何人で店を運営するかを想定し、頭の中で何度もシミュレーションを繰り返しました」
加藤さんは、趣味でイラストを描くなどデザインに触れることも多く、「1から10まで自分で手がけることができれば今後の店舗展開にも役立つはずだ」と考え、3Dレイアウトの勉強を始めたという。その結果生まれたのが、15坪の長方形の空間にカウンター12席と2人掛けテーブル8卓を配置した現在のレイアウトだ。
