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視点を変えた“パン飲み”が人を呼ぶ東松原『Crumb.』。経験値に裏打ちされた確かな戦略と発想

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『Crumb.』の店主、酒井雅美さん。飲食業界に入ってちょうど10年の節目で開業した

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東松原駅から徒歩3分、近くには羽根木公園がある静かな住宅街に2024年4月にオープンした『Crumb.(クラム)』。店主の酒井雅美(さかい まろに)さんは、日本橋の人気ベーカリーカフェ『パークレット』でヘッドベイカーを務めた人物だ。そんな彼女が立ち上げたのは、独自スタイルの“パン飲み”の店。多様な経験に裏打ちされたその背景に迫る。

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パンを「素材」の一つとして活かした、パン料理の数々が『Crumb.』の強み

パン粉やパンくずを意味する店名を掲げた『Crumb.』。店を訪れると、焼きたての香ばしいパンの香りが店の中に充満していた。ここは、店主の酒井雅美さんが焼くパンとともにワインが味わえる店だ。

パンは、「サワードウ」と呼ばれる自家製の天然酵母の一種と国産小麦から作る食事パン・サワードウブレッドがベース。平日は4種類程度、金〜日曜には食パンや季節の食材を使ったものも加えた6〜7種類を焼くといい、これらを店内にて1切れ300〜500円で提供するほか、食材の一つとして取り入れた料理もそろえるのが特徴だ。

「ケールとツナのサラダ」(1,800円)。パン粉に使っているスペルト小麦が、サラダの具としても入っている

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例えば、不定期で行っている朝営業のメニュー「ケールとツナのサラダ」には、スペルト小麦を使ったパンから作るパン粉をふんだんに散らして提供。イタリア発祥のパンサラダであるパンツァネッラは、鶏とパンを一緒にコンフィにしている。単に料理に添えるだけではなく、自由な発想によって野菜や肉と同じ感覚で調理しているのが興味深い。料理は前菜が800〜1,000円台を中心に6〜8種類、メインが2,000〜4,000円台で3〜4種類。野菜を中心に、信頼する国内の生産者たちから届く食材を使っているという。

「もともと私は野菜をたっぷり使ったシンプルな料理が好き。味噌汁とご飯のような感覚でシンプルな料理にパンを合わせれば、パンがより美味しく、毎日でも食べたくなる食事になると思うんです」

独立前からつながりのある生産者から届く旬の食材を使うため、メニューは毎日書き換えている

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ソムリエとして働いていた経験があるため、自身の店に置くアルコールもおのずとワインが主軸になった。「毎日飲んでも飽きないもの」として、主にナチュラルワインをラインナップ。また、開業1年目の昨夏、暑さのためワインの需要が落ち込んだことから、国産のクラフトビールも充実させて5〜6種類常備する。

ワインはグラスが1,100円〜、ボトルが5,000円〜。異なるラインナップで販売も行っている

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難波美枝

ライター: 難波美枝

ライター・エディター。プロ向けのフランス料理専門誌の編集部におよそ10年在籍した後、フリーランスに。料理雑誌やワイン専門誌、Webなどで星つきレストランからビストロ、バルまで、幅広く取材。