『松屋』が「深夜限定正社員」を募集。多様化が進む外食チェーンの働き方
牛丼チェーン『松屋』を展開する松屋フーズが、深夜勤務に特化した「深夜限定正社員」の採用を始めた。「限定正社員制度」とは、勤務地や時間などを限定した正社員のこと。近年、『マクドナルド』やすかいらーくグループといった大手外食チェーンでも導入が進んでおり、働き方の新しい選択肢として注目されている。本記事では、各社の動向から「限定正社員制度」の概要、メリット、導入時の注意点までを解説する。
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『松屋』が深夜限定正社員を導入。広がる「限定正社員」という働き方
『松屋』では、深夜帯(21時~翌9時 ※勤務先により異なる)に特化して店舗運営業務を担う「深夜限定正社員」の募集を行っている。業務内容は調理の仕込みが中心だが、その他スタッフ育成や清掃、売上管理なども行う。転居を伴う転勤もなく、勤務時間と勤務地を限定した正社員としての採用だ。
『マクドナルド』や『すかいらーく』でも。多様化する働き方の選択肢
その他の大手外食チェーンでも「限定正社員制度」の導入が活発化している。ハンバーガーチェーン『マクドナルド』では、2021年9月より、居住地から通勤可能な店舗に勤務地を限定した「地域社員制度」を導入。
また、『ガスト』などを運営するすかいらーくグループでは、東京や大阪など9つのエリアから希望勤務地を指定でき、転居を伴う異動がない「エリア社員」を募集している。入社後にライフステージの変化に合わせて雇用区分を変更できる柔軟性も特徴だ。
さらに、牛丼チェーンの『すき家』でも、22時~翌9時の深夜帯に勤務する「深夜限定社員」を募集。こちらは契約社員からのスタートだが、希望者には正社員登用の道も開かれているという。
企業と従業員双方にメリット。改めて「限定正社員制度」とは?
厚生労働省の資料によると、「限定正社員制度」とは、従来の正社員と比べて配置転換や転勤、職務内容や勤務時間などの範囲が限定された正社員を指す。多様な働き方が可能になることから、「多様な正社員」とも呼ばれている。
企業側のメリットは、まず従業員の離職防止だ。家庭の事情などでフルタイム勤務や転勤が難しくなった人材の受け皿となり得る。また、働きやすい環境は、優秀な人材の採用や定着にも繋がるだろう。
一方、労働者側にも、勤務地や労働時間をコントロールし、ワークライフバランスを実現しやすくなるというメリットがある。育児や介護といった事情で働き方に制約がある場合でも、安定した雇用のもとでキャリア形成を続けられる可能性が広がる。
トラブル防止のために。制度導入時の注意点
飲食店経営者が「限定正社員制度」を導入する際には、労働契約を結ぶ際、勤務地や職務内容、勤務時間といった限定範囲を書面で具体的に明示することが不可欠だ。労働契約書や就業規則に雇用区分と限定内容を明記し、労働者に周知することで、後のトラブルを防ぐことができるだろう。
安定した雇用のもとで多様な働き方を実現する「限定正社員制度」は、雇用する側、される側の双方にメリットが多い。うまく活用すれば、深刻化する人手不足という課題を乗り越えるための、重要な鍵となるかもしれない。
