政府備蓄米の販売期限を延長。飲食店も注目する、今年の新米価格の見通しは?
農林水産省は、8月末までとしていた政府備蓄米の販売期限を延長すると発表した。出庫作業の遅れなどにより、いまだ約10万トンが引き渡されておらず、小売業者などから販売期間の延長を求める声が上がっていたためだ。本記事では、今後の政府備蓄米の販売期限と、今年の新米価格の見通しについて解説する。
>>飲食店“専門”の求人サイトだから即戦力が見つかる。社員とアルバイトまとめて19,800円で掲載可!
政府備蓄米、新たな販売期限は「引き渡し後1か月以内」
米の供給不足による価格高騰が続く中、8月末を期限としていた政府備蓄米の販売が、9月以降も認められることになった。農林水産省は価格高騰を抑えるため、5月26日から小売業者を対象に随意契約での売渡しを開始し、新米が出回る8月末までを販売期限としていた経緯がある。
しかし、随意契約で売渡しの対象となった28万トンのうち、8月20日までに引き渡されたのは18万トンにとどまり、10万トンがいまだ小売業者などに引き渡されていない。この状況を受け、農林水産省は未引渡し分について購入を継続するか、キャンセルするかの意向を小売業者などに確認している。
なお、すでに引き渡された政府備蓄米については、従来の期限である8月末、または引き渡し後1か月以内のいずれか遅い期日までに販売するよう求めている。
生産者への「概算金」引き上げが新米価格に影響か
政府備蓄米の販売期限延長は、今年の新米価格にも影響を与えるとみられる。しかし、小泉農林水産大臣は「販売のタイミングが9月以降にずれ込むだけで、市場に出回る備蓄米の総量が増えるわけではないため、新米価格への影響はない」との見解を示した。
一方で、農協が生産者に支払う「概算金」は、各地で昨年より引き上げられている状況だ。概算金とは、農協などが米の出荷時に生産者へ前払いする金額のことで、新米の販売価格を左右する指標といわれている。
例えば、JA全農にいがたが発表した概算金は、魚沼地区のコシヒカリ1等米(60kgあたり)で3万2,500円となり、昨年より1万3,000円引き上げられた。ただし、これは生産者ではなく各JAに支払われる金額であり、生産者が受け取る額はこれを基に各JAが改めて決定する。この概算金が引き上げられれば、最終的な小売価格も上昇するとみられる。
さらに、猛暑と水不足による収穫量の減少も懸念材料だ。概算金の引き上げも相まって、新米のコシヒカリは店頭価格で5kgあたり4,500円前後になるとの試算も出ている。その一方、販売が延長された政府備蓄米も市場に流通するため、高騰する銘柄米と価格が抑えられた備蓄米とで、価格の二極化が進むという予測もある。
新米が本格的に流通する秋に向けて、米の価格や販売状況は不透明な状況が続きそうだ。飲食店経営者は、継続的な情報収集が欠かせないだろう。
