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西荻窪の中華居酒屋『オイシイ水餃子クラブ』。デザイン力がもたらすブランディングの功績

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ドリンクメニュー。写真左には個性豊かな台湾茶が並ぶ(写真提供:株式会社DONO)

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台湾直送の烏龍茶と、もっちりジューシーな水餃子

「水餃子と創作中華、台湾烏龍茶のおみせ。」というコンセプトには、栗本氏が台湾にルーツを持つこと、そして中華料理系の居酒屋で働いていた共通の友人が、ちょうど独立を志していたというタイミングが重なった背景がある。同店では、「台湾料理」と聞いて多くの人が思い浮かべる屋台や庶民派グルメなどのイメージにとらわれず、ポップさとカジュアルさ、そしてさりげない上質感を融合させたスタイルを提案する。

メニューの1ページ目に並ぶのは、多彩な台湾烏龍茶。使用する茶葉は、栗本氏の母のつてをたどって台湾から直輸入しているハイグレードのもののみ。「台湾茶割り」(各825円)として楽しめるほか、ノンアルコールドリンクとして、「温茶」(各1100円)、エスプーマを使って泡状で提供する冷たいお茶「香香烏龍茶(シャンシャンウーロンチャ)」(各715円)も用意する。また、スタッフの中にはバーテンダーが在籍しており、「今日の料理に合うカクテル」といった個別のオーダーに柔軟に対応するなどの工夫も見られる。

ひと言で烏龍茶といっても香りも味わいも様々。「自分好みの一杯を見つけてほしいと」栗本氏(写真提供:株式会社DONO)

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料理の主役はもちろん、一つひとつ手包みしている水餃子だ。水餃子だけでお腹いっぱいになってしまわないよう、皮はほどよい厚みでもっちりとした食感、あんは豚ひき肉、キャベツ、白菜、ニラのシンプルな構成で、ラードを加えることでジューシーさをプラスしているのが特徴。

フードメニューは季節ごとに少しずつ入れ替わる(写真提供:株式会社DONO)

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「プレーン水餃子」(500円)に加え、エビの殻でうま味をプラスしたピリ辛味の「海老香る紅油(フォンユ)」、沙茶醤や卵を合わせたタレに水餃子をくぐらせる「台湾すき焼き」、黒ニンニクで香り高く仕上げた「ニンニク醤油」(各660円)などが定番メニューにラインナップ。ここでしか味わえない変わり種3種を盛り合わせた「名物水餃子3種食べ比べ」(990円)は訪れる人のほとんどが注文するまさに名物となっている。

「名物水餃子3種食べ比べ」(写真提供:株式会社DONO)

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水餃子以外の料理にも、随所に台湾のエッセンスを盛り込んだ。山椒の香りが際立つ「本格麻婆豆腐」(1,019円)は、人気メニューの一つ。このほか、四川風シビ辛ソースの「赤」と、バジルやニンニク、ショウガなどを合わせた台湾三杯鶏(タイワンサンベイジー)ソースの「緑」の2種類を展開する「よだれどり」(880円)、台湾で親しまれる香味油「木姜油(ムージャンユ)」を用いたカルパッチョといった具合だ。

掲げたコンセプトを確実に軸に据えながらも、トレンドやニーズを押さえ、オリジナリティを加えるスキルは、デザインと通ずるものがあるのだろう。彼らがデザイナーとして培ってきた経験は、飲食店のブランディングや経営にも確かに寄与しているといえそうだ。

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河西みのり

ライター: 河西みのり

フリーランスで活動するライター&インタビュアー。現在はソーシャルメディアや業界紙など多岐に渡り執筆。飲食店取材からレシピ本の編集、お取り寄せカタログのコピーまで“食”にまつわる分野を得意とする。