すき家が1,000人の契約社員を採用へ。人材不足の今、採用活動は個性で勝負！
Photo by yuiseki aoba「すき家」
牛丼店『すき家』を運営する株式会社ゼンショーホールディングスが、2017年3月を目途に契約社員1,000人を採用するという。『すき家』といえば、深夜のワンオペ（一人勤務体制）問題が表面化し、深夜営業を停止する店舗が続出したことでも話題となった。現在はツーオペ（二人勤務体制）を推進し、徐々に深夜営業を再開しており、今回の契約社員雇用もツーオペ体制をより強固なものにすることが目的とされている。
人材不足が叫ばれる現在の飲食業界において、果たして1,000人もの人材が集まるのか？ 『すき家』の方針としては、まずは700～800人のアルバイトを契約社員として雇用、足りない200～300人は外部から雇用するとしている。こうした既存人材を活用する雇用方法は様々な企業で実施されており、たとえば『スターバックスコーヒー』では、契約社員800人全員を正社員化するなどの大規模な採用を実施。また『すかいらーく』でも、アルバイトから社員への登用をあと押しする研修制度を新設するなど、各社で既存人材を囲い込む動きが見られる。
しかし、問題は外部雇用を実施するケースだ。売り手市場が続く飲食業界で、どのような採用活動を行えば優秀な人材を確保できるのか？ 今回は様々な企業の採用活動を例に、効果的な方法を探っていきたい。
Photo by Kārlis Dambrāns「Chef Māris Jansons」
求職者にとっての“憧れの職場”になる
まずご紹介するのは、『Foodist』でも取材をしたフレンチの名店『L'AS』。オーナーシェフ・兼子大輔氏は輝かしい経歴の持ち主で、若手シェフの登竜門「RED U-35」でゴールドエッグを受賞したことでも知られる。取材時のコメントを少しご紹介しよう。
「『RED U-35』へ出場したことで、メディアに取り上げてもらう機会も多くなった。結果、お客様も増えたし、求職者からの応募も増えました。コンテスト出場がもたらした影響は大きいですね」
メディアやコンテストに出ることで自身の実力を示し、“憧れの職場”であることを求職者に示していく。スターシェフならではの方法ではあるが、知名度があることは、採用活動においても有利に働く。腕に自信のある方は、積極的に自身のブランディングを図ってみてはいかがだろうか。
そもそも離職させないことが大切
『塚田農場』などの人気チェーン店を運営するエー・ピーカンパニーも、採用活動に力を入れている企業のひとつだ。なかでもアルバイト従業員を離職させないための工夫が面白い。
エー・ピーカンパニーで働くアルバイト従業員は、7割が大学生だという。そのうち2割が就活生なのだが、そんな彼らに向けて就職活動の支援を行っているのだ。就活ポイントが学べるセミナー、さらには異業種企業を招いての企業説明会…。こうした様々なイベントを開催することで、就活生を積極的に支援。アルバイト従業員は働きながら就職活動に取り組めるというわけだ。
ほかにも、アルバイトを対象にした「AP感謝祭」を毎年開催。スタッフ有志による歌やダンス、さらにお笑いライブなども繰り広げられるこのイベントは、今やエー・ピーカンパニーの名物として様々なメディアでも紹介されている。このようなイベントを通じて、「時給＋@」の働き甲斐を従業員に提供することで、低離職率を実現しているようだ。
ユニークな採用ホームページで、SNSでの拡散を狙う
ユニークな採用ホームページを設けるのも、人材確保をするうえで有効な手段となる。『とらふぐ亭』や『魚王KUNI』といった店舗を運営する東京一番フーズは、「29品のふぐ採用」と題したホームページで新卒を募集。ふぐっぽい顔の人が応募できる「ふぐ顔採用」や、字が綺麗な人が応募できる「書道二十九段採用」といったユニークな採用ページを設けて話題となった。本来であれば、企業理念ややりがいなどを誠実にアピールしていくことが採用活動の正攻法であるが、東京一番フーズのように、まずは話題をつくり認知を広げていくことも、ソーシャル時代の現代においては重要なことだ。正攻法で人材が集まらない場合は、選択肢のひとつとして検討するのもいいかもしれない。
さて今回は、人材不足に悩む飲食業界の中でどのように求職者を集めているのか、3つの例をご紹介した。『すき家』のように200～300人を集めなければいけないケースは稀だが、飲食店は常に人材不足と闘っていかなければならない。他社、他店舗の人材対策を知ることは、人事担当者にとって必要不可欠なことだと言えるだろう。
