【私の偏愛】神泉・イタリア郷土料理『アウレリオ』大本陽介さん|そこにはいつも人の熱量がある
飲食の世界で輝くプロフェッショナルたちは、一人の人間として、何に惹かれ、何に思いを寄せてきたのだろう。彼・彼女らの「偏愛の対象」を足がかりに、その人となりや今の彼らをつくり上げた“種”に迫る。第1回は、『AURELIO(アウレリオ)』のオーナー・大本陽介さんの元を訪れた。
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古着、雑貨、昔からある飲食店……。「誰かが長く手をかけてきた時間」を思う
「スタッフに相談したこともあるくらい、大手を振って語れる趣味がなくて……。今、一番の楽しみといえば、毎朝、大谷翔平選手の活躍を見ることですかね(笑)」
今年10年目を迎えた『AURELIO』のオーナー・大本陽介さんは出だし早々、太陽のような明るい笑顔でそうおどけてみせた。
渋谷区円山町の住宅街の一角に2016年にオープンした『AURELIO』は、イタリア郷土料理とナチュラルワインの店。下北沢の『バール アリメンターリ ダニエラ』や『クオーレ・フォルテ』、本場イタリアのレストランで腕を磨き、飲食の世界に一途に打ち込んできた大本さんは今も、お客たちを喜ばせたいと次世代を担う若きスタッフたちとともに連日店に立つ。
旬の素材を余すことなく使った前菜や手打ちパスタ、大本さん自身も生産者の元を訪れ厳選するナチュラルワイン、そしてそんな食事の時間が最高に楽しいものになるよう寄り添ってくれるサービスがこの店の名物。姉妹店にイタリアンバール&リカーストア『hiyori LIQUOR STORE AND BAR』(神泉)、立ち飲みイタリアン『neo』を手がけるなど、この約10年の間に大本さんは着実に歩みを進めてきた。
「何か一つ執着して溺愛しているものがあるわけではないんですけど、古着とかヴィンテージ雑貨、あとは昔からある飲食店とかが好きですね。イタリアンやフレンチを食べに行っても、料理のレシピや味付けよりも、テーブルセッティングやカトラリー、サービスマンやソムリエの立ち振る舞いなど、そのシーンを彩っている歴史・文化的なものについ目がいきます」
冒頭、趣味がないことが悩みだと笑った大本さんだが、「偏愛の対象」は確かに存在するようだ。それは、「誰かが長く手をかけてきた時間」が垣間見えるもの。大本さんが惹かれると語ったものすべてには、人の息吹や熱量が染みついていた。




