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“子連れ歓迎”異色のビアバー・曳舟『THE ALL DAY』に聞く、子連れ酒場のリアルと成功術

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中央にスタンディングテーブル、右奥が半個室スタイルのテーブル席。ドリンクカウンター前にも立ち飲み席がある

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目的が異なる客を共存させる鍵は、需要に合わせて独立させた空間づくり

今、実際に店では、立ち飲みの1人客の側で、アイスクリームを食べる子どもを連れてビールを楽しむお客や、ナチュラルワインと共にしっかりと食事を楽しむお客などが、同じ空間と時間を共有している。ママ友のグループ客が来ることもあれば、ランチ後や〆にアイスクリームだけを楽しみに来るお客も。だが、ファミリー客やグループ客で埋め尽くされてしまうことはないと長谷川氏は話す。

その最大の要因は、空間づくりにあった。店内は約20坪と広めながら、ソファ席は半個室のようになった奥の10席のみ。「下町情緒が残る街だから、地域の人が交わる場にしたい」と、店の顔となる中央には大きなスタンディングテーブルを置いた。

さらに、窓際とキッチン前にはカウンターを4席ずつ設置。人目を気にせず静かに過ごしたいお客や、厨房のライブ感を味わいたいお客の需要もしっかりと押さえたかたちだ。つまり、それぞれのお客が、自分が求める過ごし方に合わせて棲み分けできるよう、店内で明確にエリア分けがなされているのだ。

窓際のカウンター席。「できるだけ一人一人のお客さまの顔を見て関われる時間をつくりたかった」と席数は最小限に

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アルコールのオーダー減は、フードと満足度でカバー。客単価は既存店超え

では、売上面はどうなのか。子連れやファミリー客が増えると、アルコールのオーダー減や客単価、回転数にも影響しそうなものだが、現在、月商約500万円とまずまずだという。

「あくまで既存店との比較になりますが、確かに平均するとアルコールのオーダー数は落ちます。アイスクリームやコーヒーだけのお客さまもいますし、お酒を飲まない方もいらっしゃいますから。ただ、実はこっちの店の方が客単価は高いんですよね。フードメニューを充実させていることもあって、しっかり食事を楽しんでくださる方がすごく多いので、十分にカバーできています」

メニュー例。お子さま向けのメニューはなく、その時々で柔軟に対応する

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シグネチャーメニューは自家製のソーセージ。岩手県久慈ファームのブランド豚・佐助豚を使用し、発注の翌日に冷蔵のまま届くフレッシュな肉をその日のうちにマリネして、翌日に詰める。新鮮な肉ならではのプリッと程よい歯ごたえのある身質のいい肉から、甘くクリアな肉汁があふれ出せば、ビールが進まないわけがない。ランチタイムにはホットドッグでも提供し、幅広い層から高い支持を得ているという。

写真奥がシンプルな「あらびき」、手前が豚トロをベースにした「ブータンブラン」(各1,060円)。ビールは800円〜

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だが一方で、客単価は大きく意識していないとも長谷川氏は語った。

「何せ、アイス一つだと500円の世界ですから(笑)、一喜一憂することはありません。店の使い方はその時、人それぞれ。どんな方でもウェルカムです! ちゃんといいものを届けている自信はあるので、アイス一つ、ビール1杯でも精一杯お迎えする。その時にハッピーになってくれれば、次につながると思っています」

「Otisの生ハムと洋梨のサラダ」(1,280円)。『Otis』は近所のハムとサラミの専門店

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山本愛理

ライター: 山本愛理

フリーライター・エディター。WEBを中心に食にまつわる記事を執筆。 昔ながらの喫茶店から星付きレストランまで、美味しいものを通して幸せな時間を提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。空いた時間はもっぱらカフェ巡り。