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【2026年10月義務化】飲食店のカスハラ対策ガイドライン解説。店とスタッフを守る対応とは?

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近年、飲食店では「カスタマーハラスメント(カスハラ)」と呼ばれる、スタッフに対する悪質なクレームが後を絶たない。カスハラはスタッフの疲弊や離職につながることもあり、今や業界全体の深刻な課題といえる。

こうした事態を背景に2025年6月、政府は「労働施策総合推進法」を改正。事業主には、カスハラ対策が義務付けられることになった。

これを受け、農林水産省と厚生労働省は2026年2月、「飲食店におけるカスタマーハラスメント対策ガイドライン」を策定。今回は、この最新のガイドラインを紐解き、カスハラの判断基準やマニュアルの作成など、今日から現場で実践できる具体的な対策を分かりやすく解説していく。

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どこからがカスハラ? ガイドラインが示す「七つの類型」と「経営者の義務」

お客から寄せられるクレームの多くは、業務改善に役立つ正当な指摘だ。しかし、社会通念上許容される範囲を超えたものはカスハラとなる。最新のガイドラインでは、飲食店で起こりやすい事案を踏まえ、以下の七つをカスハラの類型として挙げている。

■カスハラの七つの類型
・暴力(殴る、蹴る、物を投げつけるなど)
・侮辱・暴言(人格否定、名誉毀損、バカにした言動など)
・恐怖・威圧(怒鳴る、机を叩く、土下座の要求、脅迫など)
・無関係・不当要求(プライベートな会話の押しつけ、無理な値引きなど)
・長時間化(適切な対応をしても30分以上続くなど)
・繰り返し(同様の内容を3回以上繰り返すなど)
・コミュニケーション不成立(一方的に話を続ける、謝罪を一切受け付けないなど)

特に「長時間化」や「繰り返し」については、30分や3回といった具体的な目安が示された。ガイドラインでは、たとえお店側にミスや非がある場合でも、方針に沿って適切に対応したうえで上記の言動が続くなら、カスハラと判断して良いとしている。

カスハラ対策が本格的に義務化されるのは、2026年10月1日からとなる見込みだ。経営者は主に以下の五つの措置を講じることが求められる(参照1)

■経営者が行うべきこと
・基本方針の明確化と、スタッフへの周知・啓発
・カスハラの判断基準や対応手順の策定
・スタッフのための相談体制の整備
・被害を受けたスタッフへの配慮(メンタルケアなど)
・悪質な事案への対処方針の策定(警察との連携など)

特に「警察との連携」や「スタッフのメンタルケア」といった事後対応についても、具体的な備えが求められている点に注目したい。飲食店の事業主がカスハラ対策を取らない場合、従業員への安全配慮義務違反と判断される可能性があるため、早急な対応が必要だ(参照2)

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【即実践】現場を救う「カスハラ対策」三つのアクション

上記のポイントを踏まえ、飲食店が具体的にどのような対策を始めるべきか、三つのアクションを紹介する。

1.「自店独自のルール」を言語化・マニュアル化する
まずは、どのような行為を自店におけるカスハラとみなすか、明確に決めておくことが大切だ。一貫したマニュアルには、判断基準だけでなく、「スタッフ1人で対応させず、責任者に引き継ぐタイミング」といった具体的な手順も盛り込んでおきたい。組織として守る姿勢を明確にすれば、現場の不安も和らぐはずだ。

2.「カスハラ拒否」のポスター・ステッカー掲示
カスハラを防ぐには、お客に対してもお店の方針を伝えておくのが効果的だ。店内にポスターを掲示する、名札の表記を工夫するといった対策を行うことで、スタッフも毅然とした対応を取りやすくなるだろう。

3.録音・録画の活用と「警察・弁護士」との連携確認
万が一の事態に備え、状況を正確に記録できる体制も欠かせない。防犯カメラによる録画は、事実確認をスムーズにするだけでなく、悪質な行為の抑止も期待できる。

また、トラブルが手に負えなくなった際の「退店を告げる手順」や、警察・弁護士への相談方法も事前に確認しておきたい。決してスタッフ1人に抱え込ませず、お店全体で守る体制を整えることが、ブランドを守ることにもつながるはずだ。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。