飲食店ドットコムのサービス

開業の要、飲食店をオープンするのための資金調達法を考える

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

飲食店の開業を考える方にとって、避けて通れないのが資金にまつわる話。日本政策金融公庫の「2013年新規開業実態調査(飲食事業以外も含む)」によると、開業時に苦労したことでもっとも多かったのは“資金繰り・資金調達”となっている。多くの開業者が、お金にまつわる苦労を経験しているというわけだ。

こうした苦労を軽減するためには、開業前の計画が重要となってくる。そこで今回は、いざ開業した時に資金面で失敗することのないように、具体的なお金の流れをイメージしつつ、資金調達の方法についてご紹介していきたい。

そもそも開業にはいくらかかるのか

飲食店を開くには、大きく分けて2種類の資金を確保しなくてはならない。ひとつ目が開業資金、そしてふたつ目が運転資金である。ご存知の通り開業資金とは、物件取得費、内装費、機器・備品代、求人広告費、宣伝費など。そして開業後の運転資金として、店舗の家賃、光熱費、電話やネットなどの通信費、人件費、仕入れ代、消耗経費などが挙げられる。

どちらもバランスよく備えておく必要があるが、特に注意を払いたいのが運転資金の確保だ。飲食店が閉店してしまうのは1年目がもっとも多いとされている。軌道に乗るまでは半年~1年間は掛かることを覚悟して、しっかりと運転資金を用意しておきたいところだ。

ちなみに平均的な開業資金は1,200万~1,500万円であると言われることが多い。もちろんこれはあくまでも平均値なので、店舗の大小、業態によっても金額は大きく違ってくる。事業計画を立てる際は、立地、坪数、業態などのさまざまな要素を鑑みたうえで予算を組み、そのうえで資金調達をしたい。

開業資金の4分の1は自己資金で賄う

資金調達の方法としては、
1、自己資金
2、親族からの借り入れ
3、公的機関からの借り入れ
4、銀行などの金融機関からの借り入れ
5、補助金、助成金の活用
などが挙げられる。借り入れなしで開業できるのが理想だが、現実には、上記の方法を組み合わせて目標額を集めることが多い。ではどういった組み合わせが多いのか、再び「2013年新規開業実態調査」を見てみると、2013年度は、自己資金が全体のおよそ25%、親族からの借り入れがおよそ11%、公的機関や金融機関からの借り入れがおよそ62%、その他が2%となっている。先ほどの平均的な開業資金である1,200万~1,500万円を例にすると、300万~375万円は自己資金が必要というわけだ。

借りるなら金融機関より公的機関。確実に融資を受けるには?

自己資金で補えない部分は借り入れという形になるが、銀行などの金融機関はしっかりとした担保や保証人が必要な場合もあり、実績がない個人店の開業にはハードルが高い。一方で、公的な融資制度は金利も低く返済の負担も少ないので、初めての開業には心強い借り入れ先だ。代表的な機関として日本政策金融公庫が挙げられる。

ただ、金融機関より借りやすいとはいえ、融資を受ける際にはしっかりとした事業計画書が必要となる。コンセプトを練り上げるのはもちろん、客単価や回転率なども想定しながら綿密な予測を立てていきたい。この綿密さこそが融資を受ける際の信頼性に繋がるので、必要であればコンサルタントから事業計画書作成のアドバイスを受けるのもいいだろう。

補助金や助成金の活用も有効

開業資金の足しとしてぜひ活用したいのが、補助金・助成金制度。最大200万円の補助が得られる「創業補助金」や、ホームページの作成費用などに充てられる「小規模事業者持続化補助金」など、飲食店向けの補助金・助成金制度はさまざまとある。中小企業庁が運営する「ミラサポ」で詳しく調べることができるので、開業を考えている方は必ずチェックしたい。

新たな資金調達法、クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人にプレゼンテーションをおこない、プロジェクトに賛同した人から投資を受ける新しい資金調達法だ。ここ数年で瞬く間に広がった手法だが、現在では飲食業に限らず、様々な分野の起業家やクリエイターが自身のアイデアを形にするために融資を呼びかけている。

クラウドファンディングは資金調達を目的としているが、考え方によってはそれ以外の効果も得られる。たとえば、出資してくれた人はプロジェクトを応援するために来店してくれることもあるし、家族や友人を伴っての来店であれば、そこから新たな顧客獲得に繋がる。クラウドファンディングをファン作りの一環として用いることができるのだ。

まだまだ成功事例が少なく一般に普及していない方法ではあるが、クラウドファンディングの利用を検討する価値は十分にある。特にアイデアにあふれた独自性のある店舗を出店しようと考えている方は、出資者から賛同を得られやすいので、一度検討してみるといいだろう。

さて今回は開業資金についておさらいしつつ、資金調達の方法についてご紹介した。時代とともに資金調達の方法も変化している。クラウドファンディングのようなプラットフォームが日本で認知されつつあることは、開業したいと考える人たちにとって大きなチャンスではないだろうか。しかしどんな資金調達の方法を選択しても大切になってくるのは事業計画だ。計画書は単なる資料ではなく、開業のための設計図だと考えてしっかりと準備し、資金調達に備えよう。

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ
Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
イシイミヤ

ライター: イシイミヤ

フリーライター。ファッション誌やカルチャー系のウェブサイトでライフスタイルに関わる記事を執筆。現在はフードカルチャーに焦点を絞り、その最旬事情から老舗の妙味まで多岐にわたり執筆中。週3でアンテナショップに通い、全国の郷土菓子と未知の食材の収集を日課にしている。ビールとコーヒーのトレンドに詳しい。