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飲食店で働くプロに捧ぐ漫画10選。料理人の哲学から、経営ノウハウまで幅広く学べる作品たち

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Photo by Jess「Read」

食のプロが読んでも楽しめる作品が続々と登場中!

幅広い年代が楽しめる娯楽として親しまれている漫画。「文化庁メディア芸術祭」や「マンガ大賞」、「全国書店員が選んだおすすめコミック」など、様々な漫画賞が開催されており、いまや日本を代表するカルチャーとも言える。

たくさんのジャンルがある漫画の中には、料理やグルメをテーマにした作品も数多くある。少年漫画で多いのは『中華一番!』や『食戟のソーマ』のような、料理バトルが繰り広げられるもの。しかし近年では、レストランを綿密に取材したものや家庭料理のレシピを紹介するものなど、実際に行ったり作ったりしたくなるような作品も多くなっている。今回は、プロが読んでも楽しめる漫画を新旧とりまぜて紹介する。

料理で何を伝えるのか? メッセージの込められた2作品

『大使閣下の料理人』 作:西村ミツル、画:かわすみひろし
日本大使公邸料理人として働いた西村満の経験をもとにしたエッセイ作品。高級食材の手に入りにくいベトナムでの試行錯誤が興味深い。政府高官や各国大使のための食事を作り、“気持ち”を料理に込める。料理で人々の心を通わせることができるかというテーマは、料理人にとって普遍なのではないだろうか。

『信長のシェフ』 著:梶川卓郎
平成から戦国時代へタイムスリップしてしまったフレンチのシェフを描く異色の作品。戦国時代では食材を揃えることも難しい中、「和睦を受け入れさせる料理」など、信長が出す無理難題に応える料理描写が見所だ。醤油の起源や山野草の種類といった豆知識的な情報も学べる。

飲食店の経営についてもきちんと描かれた3作品

『ラーメン才遊記』 作:久部緑郎、画:河合単
有名料理研究家を母に持ち、味覚が鋭く知識も豊富な主人公がフードコンサルティング会社「清流企画」に入社することからストーリーが始まる。前作『ラーメン発見伝』のスピンオフ作品で、ラーメンに関するうんちくがテンポ良く語られるという特長は健在。今作ではそれにプラスして、コンサルタント目線で経営について学ぶことができる。

『あさめしまえ』 著:北駒生
朝ごはん食堂「アサメシマエ」を舞台に、主人公の料理人日高元(ひだかげん)と周辺の人たちのエピソードを描く。基本的には、レシピ付きで食と人との結びつきを描くほのぼのとした内容。一方で、お客の要望にどこまで応えるべきか、メニュー決定の難しさなど、主人公の経営者としての側面も描かれている。個人店の経営を考える人が読めば、空気感を感じることができそう。

『アマイタマシイ〜懐かし横丁洋菓子伝説』 著:杉本亜未
商工会職員の柴田羽衣(しばたうい)と東大生の川島賀句(かわしまがく)が、天才パティシエの才能に惚れ込み、シェフ就任を依頼するというストーリー。パティスリーが次第に繁盛し、商店街に活気を取り戻す“商店街起こし”という一面もある。実際の店舗運営にも関わってくるブログやSNSを活用する描写もリアルに盛り込まれている。

料理のヒントが満載。情熱を思い出させてくれる3作品

『バンビ〜ノ!』 著:せきやてつじ
松本潤が主人公を演じ、ドラマ化された人気作。福岡在住の主人公が“最高のイタリア料理人”を目指す成長物語だ。作者は実際にいくつかのイタリアンレストランで働いたそうで、厨房のリアルな熱感が伝わってくる。主人公が成長し、後輩との関係などが描かれる続編『バンビ〜ノ!SECONDO』もおすすめ。料理だけでなく、サービスや仕入れなど、レストランに関するすべてがこの漫画に詰まっている。

『瑠璃と料理の王様と』 著:きくち正太
「瑠璃色食堂」の二代目主人・花畑瑠璃が主人公。漫画作品としては珍しいガラスペンによる作画が美しく、料理の表現も見事。食材の扱い方や旬について、さらには盛りつけの大切さなどを丁寧に描いており、それらを改めて知りたいときに読みたい。

『あんどーなつ』 作:西ゆうじ、画:テリー山本
パティシエを目指していた主人公が、ひょんなことから和菓子職人として働き始める。真面目な性格の主人公が餡作りに失敗し、食材に謝りながらひとり食べるという描写は、誰しも駆け出しの頃を思い出すはず。下町の空気を感じる暖かい作風でありながら、和菓子の意匠や日本文化についての解説もきちんとされており、勉強になる。

酒を扱うなら読んでおきたい2作品

『神の雫』 作:亜樹直、画:オキモト・シュウ
絵でワインの味わいを表現し、初心者にも分かりやすい解説でワインブームを作り出した。料理本のアカデミー賞と言われる「グルマン世界料理本大賞」の最高位を受賞したことも。現在、続編の『マリアージュ〜神の雫 最終章〜』が連載中。料理とワインのマッチングについても語られており、ソムリエだけでなくレストラン経営者にもおすすめだ。

『バーテンダー』 作:城アラキ、画:長友健篩
主人公のバーテンダーと周辺の人々とのエピソードが描かれる作品。作中で扱う酒はカクテルだけでなく、ウイスキーやビールなど幅広い。レシピだけでなく、それぞれの酒にまつわる実際のエピソードも学べる。主人公がバーテンダーとしての心構えを説くなど、名言も多い。

たかが漫画と侮るなかれ。取材と知識によって描かれた料理漫画は、プロにとってもヒントになることは多い。ほかにもたくさんの作品があるので、ぜひ自身の仕事に近いものを見つけてみよう。

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いずみかな

ライター: いずみかな

グルメやライフスタイル、育児などを中心に編集執筆業をおこなう。2015年からフリーランスとしての業務を開始。タウン情報誌やレストラン情報を扱うWeb媒体で取材や執筆をしており、特にケーキや洋菓子に興味がある。