飲食店で働くプロに捧ぐ映画8選。名作から「料理人の心得」「食の在り方」を学ぶ
個人店を経営する・したい方におすすめの映画
『海のふた』
人気作家、よしもとばななの小説が映画化された『海のふた』は、菊池亜希子演じるヒロイン・まりが、故郷の街でかき氷屋を開くまでのストーリー。「私は私がいいと思うものしか出したくないの」と話す主人公・まりが作るかき氷は、シンプルだけど心のこもったこだわりの味。作中に出てくるかき氷は、「真冬でも行列のできるかき氷屋」として知られる『埜庵(のあん)』の石附浩太郎氏が監修している。メニュー作りや店の内装など、個人店としてどう個性を出していいか悩んでいる方にオススメの1本。
『しあわせのパン』
原田知世と大泉洋が主演を務め、北海道で撮影された同作品は、月浦という湖のほとりに佇むパンカフェが舞台の映画。幸せは、誰かと分け合うことで広がっていく。そう感じさせられるエピソードが、春夏秋冬の北海道の風景と美味しそうなパン、そして個性的な登場人物たちとともに静かに綴られていく。作中に登場するパンと料理はどれも美味しそう。使う器やカトラリー、盛り付けも参考になる作品だ。
産地・食材について学べる映画
『銀の匙 Silver Spoon』
人気コミック『銀の匙 Silver Spoon』が映画化されたこちらの作品は、北海道の農業高校が舞台。高校生たちが酪農に悪戦苦闘しながら取り組む姿からは、食に携わるものなら知っておきたい産地の苦労がうかがい知れる。笑いあり、涙ありのテンポのいいストーリー展開で、気軽に見られる食の舞台裏を学べる映画といえるだろう。
食との向き合い方を考えさせられる映画
『eatrip』
最後にご紹介したいのは、第33回モントリオール世界映画祭2009にも正式出品されたドキュメンタリー映画『eatrip(イートリップ)』だ。登場するのは築地市場鮮魚仲買人の髙橋皖司や、15代続く茶の名家・武者小路千家の千 宗屋、鰹節問屋の秋山鐘一郎など。食とは一見関係がないようにも思える歌手のUAやデザイナーのヨーガン・レール、俳優の浅野忠信なども登場して、人と食のつながりを綴っていく。監督は、フードディレクターである野村友里。毎日何気なく食べているごはんは身体と心をつくること、人生とは食べる旅。そんなメッセージを感じることができる作品だ。プロとして食を扱う立場にある人なら、誰もが心の片隅に留めておきたいエピソードが詰まっている。
食をテーマにした映画は数多くあるが、どんな映画にせよ共通して言えるのは「食べること」が私たちの人生に深く関わる行為であるという点だ。これらの作品は食に対すること、そして自分の仕事について見つめ直すいいきっかけになるので、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。