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飲食店を悩ます「ネット上の名誉毀損」に弁護士がアドバイス。まずは削除依頼、法的責任の追及も

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恵古・佃法律事務所の佃克彦弁護士

インターネットの匿名投稿サイトで約10回、知り合いの飲食店を中傷する書き込みをした石川県加賀市の市議会議員に対して同市議会が12月11日、辞職勧告決議案を全会一致で可決した。ネットを媒体とした情報の伝播が容易になった今、悪評を書き込まれることは飲食店の経営に大きな打撃を与えかねない。こうした降りかかってきた災難にどのように対処すればいいのだろうか。この種の問題を多く扱う佃克彦弁護士(恵古・佃法律事務所)に聞いた。

まずは削除依頼、法的責任は民事と刑事の2種類

ネットでの悪質な書き込みに対して最初に取るべき方法は、サイトの管理者に該当する書き込みの削除を依頼することであろう。それでも削除されない場合、あるいは削除されたとしても、法的な責任追及をしていくことが可能である。書き込んだ人間はIPアドレスの開示請求でほぼ特定できる。

法的責任には民事と刑事の2つがあるということは押さえておきたい。民事責任とは被害者が加害者を訴えて、被害者に対し損害を直接賠償させる手続き。名誉毀損であれば不法行為(民法709条)で損害賠償を求め、名誉を回復するために適当な処分を別に、あるいは同時に求めることもある(同723条)。

刑事責任は国が他人の名誉を毀損した人を罰するための手続きで、具体的には有罪であれば刑法230条1項で3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金に処せられる。名誉毀損罪の場合、被害を受けた者が告訴(刑事訴訟法230条)をしなければ捜査は始まらない。

加賀市の当該市議会議員の場合、既に小松簡裁から罰金30万円の略式命令を受けており、これは刑事責任であり、報道では飲食店経営者が小松区検に告訴したとされている。民事責任については報じられていないが、民事訴訟を提起している可能性はある。

Photo by iStock.com/PunTH

こうした問題で弁護士が相談を受けた場合も、削除依頼から入っていくのが通常であるという。佃克彦弁護士は「サイトにもよりますが、あっさり削除依頼に応じるところがあります。反応が鈍く、何回かやってようやく消される場合もあります。内容証明を送ると消す所もあれば、裁判を起こさないといけない所もあります。削除の依頼を出す時は、弁護士であることを明示して送るようにしています。そうすることにより相対的に目立ちますし、削除をしない場合に法的手続きに出るぞという毅然たる姿勢も相手に伝えることができますので。そうやって早い所では10分ぐらいで消えたところもあります。びっくりするぐらい早かったです」と言う。

削除依頼をしても削除をしてもらえない場合、訴訟手続によって、サイト管理者や書き込みをした本人に削除を求めることができる。また、削除依頼によって削除をしてもらえた場合でも、書き込みをされて一定期間名誉毀損状態が続いたことについて、書き込みをした者に対し、訴訟手続で損害賠償請求をすることも可能である。もっとも書き込みにも様々な種類があり、すべての場合に法的責任が認められるとは限らない。そこで3つの具体な書き込みの例を示して、どのような責任追及が可能かを考えてみよう。

Photo by iStock.com/demaerre

飲食店への名誉毀損の具体例、3つの書き込みパターンで考察

飲食店経営者Vは、ある日、匿名掲示板で自らと自らの店舗を実名で特定できる方法で事実とは全く異なることが書き連ねられているのを発見した。

「Vの店の売り上げの一部(4~5%)は、カルト教団に入る仕組みになっている」(書き込み1)
「Vの店のラーメンに異物(家庭用洗剤、ゴキブリの足等)が入っていたので、食べるのをやめた」(書き込み2)
「Vの店で豚骨ラーメンを食べたが、スープに豚骨の風味が全くなく、麺はコシがなかった。素人が作ったものと変わらず、金を出して食べる価値はないと思う」(書き込み3)

これらはVと感情的に対立しているAがすべて書き込んだものだった。書き込みが始まって以後、Vの店の売り上げは徐々に減少し、3か月後には通常の売り上げの7割程度にまで落ち込んでしまった。Vはそれを削除し、書き込みをやめさせたいと思っている。匿名掲示板の管理者に削除するよう要請したが、応じる様子がない。

この事例をもとにどのような法的責任の追及が可能か聞いてみた。

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松田 隆

About 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/