公取委がグルメ情報サイトを調査。「食べログ」運営するカカクコムに話を聞いた
グルメ情報サイトに今秋、公正取引委員会の調査が入った。競争法上、競争政策上の問題の有無について調べるものであるとされるが、折しも「食べログ」に対し、点数・ランキングに関して公正さを疑問視する報道がなされている。周辺が何かと騒がしくなっている「食べログ」について、運営する株式会社カカクコムに話を聞いた。
発端は公取委による飲食店への調査
そもそもの発端は公正取引委員会(以下、公取委)が9月頃から飲食店に対し、グルメ情報サイトに関する調査依頼書を送付したことにある。報道によると調査項目は「契約の一方的改定を受けた経験の有無」「他のグルメサイトとの契約制限の有無」「評点(または表示順位)に関する不利な扱いの有無」など60問にわたるものだったとされる(J-CASTニュース 2019年9月20日)。
さらにツイッター上で飲食店関係者と思われる人物が、食べログに関して「お金払ったら悪い口コミ消せますよ!って営業は受けました」「課金しないと3.6以上出ない仕様になっている」などのつぶやきをアップ(一部はすでに削除)。物議を醸した。
公取委が調査に乗り出したタイミングであること、さらにツイッターなどの影響もあり、あたかも食べログが自サイトで恣意的な運用をしているかのような印象で語られることになったという要素はありそうである。
カカクコムに対して10項目の質問を提出
こうした状況の中、編集部ではカカクコムに対して10項目の質問を文書で提出。同社から回答を得ることができた。
問1で「(10月8日公開の)ITメディアニュースにおいて、『会費を払えば評価が上がる』という営業を行った事実はあるかという問いに対して、『事実として確認しておりません』と回答されています。確認できないのではなく、そのような事実はないと断言できますでしょうか」と聞き、さらに問2で「会費を支払わなければ、評価は3.6が上限などという書き込みも見られますが事実でしょうか」と聞いた。これに対し、問1と問2を合わせた回答がなされた。
「飲食店向け有料サービスを含む食べログとの何らかのお取り引きによって、お店の点数やランキングが変動するということは一切ございません」(筆者注:問2に対応する回答)
「弊社の営業関係者には、飲食店向け有料サービスと点数・ランキングが関係あるかのように誤解を与えるような営業行為は固く禁じております。また、弊社の営業代理店に関しても、同様の営業ルールを記載した契約書を締結した上で、営業活動を行っていただいております」(筆者注:問1に対応する回答)
前半の問2に対応する回答は「食べログのシステム上、有料サービスと点数やランキングの間には何の因果関係もない」という事実を述べている。問1に対応する部分は「『会費を払えば評価が上がる』という営業を固く禁じている」ということが回答されている。こちらの問いは「禁じていることが組織の末端、営業代理店まで確実に遵守されているか」という趣旨。そのため「そのような事実はないと断言できるか」と直截に問いかけたが、それに対する回答はなかった。