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公取委がグルメ情報サイトを調査。「食べログ」運営するカカクコムに話を聞いた

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画像素材:PIXTA

「会費払わなければ評価は3.6が上限」の真偽は?

問3は「会費を支払わなければ、評価は3.6が上限」というのが事実でないのであれば、会費を支払っていないが3.6を超える評価の店舗を複数紹介してほしいというもの。これに対しては、以下のような回答であった。

「食べログは中立なサイトとして運営しており、飲食店を公平に扱うという観点から個別の店舗を指定しての紹介はできかねます」

店舗名を明かせば、その店舗が議論の矢面に立たされる可能性もあるなど、上の回答以外にも様々な事情があるのだろう。実際に紹介してもらえれば、「3.6が上限」の書き込みは根拠を欠くものであることの証明ができたのだが、それは叶わなかった。

問7では優越的な地位を利用して営業をしないように社員教育が十分になされているか、問8は過去に違反例はあるか、という問いである。この2つの問いに対して回答は以下の1つだけであった。

「弊社内で営業活動に関する研修教育は徹底して行っております。また、弊社の営業代理店に関しても、同様の営業ルールを記載した契約書を締結した上で、営業活動を行っていただいております。営業の実態については常にモニタリングをしているほか、食べログのサイト、営業のパンフレットなどに営業に関する問い合わせ先を明示しており、飲食店からのご相談をお受けする体制を整えております」

問7については明確に回答されているが、問8で聞いた過去の違反例については回答がなかった。

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公取委事務総長は「問題ありき」の調査ではないと明言

10月9日に公取委の山田昭典事務総長は定例の記者会見で以下のように述べている。

「もちろん競争法上、競争政策上の問題か否かという観点ですので、何か不当な条件を押し付けているというようなことがないかとか、いろいろな条件を付けて拘束をしていることがないか、そうしたことがこの調査の項目の中に含まれますけれども、そうした問題があるという前提で調査をしているわけではなくて、先ほども申しましたように、現状、どういう実態にあるのかというのを把握するために行っているものでございます」

公取委も「問題ありき」で調査に入ったわけではない。昨今のグルメ情報サイトが社会に大きな影響力を持っている現状を踏まえ、その中で競争が適切に行われているかという観点から調査に入ったということを事務総長は明らかにしている。市場の監視役の公取委の目が入ることは、サイト運営者、飲食店、利用者、いずれにとっても好ましいことは確かである。

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松田 隆

ライター: 松田 隆

青山学院大学大学院法務研究科卒業。ジャーナリスト。スポーツ新聞社に29年余在籍後にフリーランスに。「GPS捜査に関する最高裁大法廷判決の影響」、「台東区のハラール認証取得支援と政教分離問題」等(弁護士ドットコム)のほか、月刊『Voice』(PHP研究所)など雑誌媒体でも執筆。ニュース&オピニオンサイト「令和電子瓦版」を主宰:https://reiwa-kawaraban.com/