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【2023.6最新】パーティションは廃棄OK? 飲食店のコロナ感染対策ガイドライン廃止、今後は?

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2023年5月8日以降、新型コロナウイルスの感染症法の位置づけが「5類」に移行した。今後、飲食店における基本的な感染対策は、それぞれの店舗に委ねられることとなる。それに伴い、日本フードサービス協会による「外食業の事業継続のためのガイドライン」も廃止された。

本記事では今後の飲食店の感染対策について、今後の基本的方針を紹介するとともに、廃止されたガイドラインの最終版を掲載する。

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ガイドラインが廃止され、感染対策は個人や事業者の判断に

2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類」に変更された。これに伴い、内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室では「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更後の基本的感染対策の考え方について」という資料を公表。今後は、感染対策について政府としては一律に求めず、個人や事業者の判断に委ねるとした。

これまで基本的な感染対策とされてきた対応に関しては、下記のように変更された。

■マスクの着用
個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本。一定の場合にはマスク着用を推奨。

■手洗い等の手指衛生
政府として一律に求めることはしないが、新型コロナの特徴を踏まえた基本的感染対策として、引き続き有効。

■換気
政府として一律に求めることはしないが、新型コロナの特徴を踏まえた基本的感染対策として、引き続き有効。

■三つの密の回避、人と人との距離の確保
政府として一律に求めることはしないが、流行期において、高齢者等重症化リスクの高い方は、換気の悪い場所や、不特定多数の人がいるような混雑した場所、近接した会話を避けることが感染防止対策として有効(避けられない場合はマスク着用が有効)。

パーティションは設置する? 不要であれば廃棄・再資源化を

また、政府はこれまで感染対策として行われてきた「入場時の検温」「消毒液の設置」「アクリル板パーティションの設置」についても政府として一律に求めることはせず、各事業者の判断に委ねるとした。

これに伴い日本フードサービス協会では「パーティションを設置する根拠はなくなるため、感染対策上不要になったものは、再資源化等を検討してください」と声明を発表している。

廃止された「外食業の事業継続のためのガイドライン」の内容まとめ

以下より参考資料として、日本フードサービス協会が示していた、「外食業の事業継続のためのガイドライン」の最終版の内容について紹介する。

事業継続にあたって

※2022年12月13日の最終変更・追加点
〇CO2測定装置設置の緩和など

感染防止のポイントは、従来の食品衛生法の一般衛生管理の遵守に加え、社会的距離確保への留意、および物理的接触削減のための創意工夫だが、具体的な方法は店舗の実情によってそれぞれ異なる。また、国および地方自治体の最新情報を得るよう十分留意する必要がある。
・創意工夫として、例えば、営業時間や提供メニューの工夫、予約・空席状況等について、お客様へ店内外の掲示やITテクノロジー等を積極的に活用して情報発信し、店舗が必要な対人距離や安全性を考慮して感染防止に努めながら営業していることをお客様に理解してもらう
・国や地元自治体から適宜発表される最新情報(方針や助言)の確保に留意し、新型コロナウイルス感染症防止対策として次の基本事項を確実に実施しながら、事業を継続する

(1)店舗・施設等の清掃と消毒
換気の徹底(適切な空調設備を活用した常時換気又はこまめな換気{1時間に2回以上、かつ、1回に5分間以上が望ましい})
(2)従業員の健康チェックと個人の健康・衛生管理の徹底
(3)社会的距離の設定と確保への工夫

大きく変更された点は、「・店舗では食品衛生法を遵守して食品の安全で衛生的な取り扱いを徹底する」という文言が削除されたこと。また、(1)として「食品の安全と衛生管理」とあったが、削除されている。さらに「店舗・施設等の清掃と消毒」に記載されていた「※必要に応じ、CO2 測定装置を設置する等により、換気状況を常時モニターし、「1,000ppm 以下」を維持することも望ましい」という文言が削除。換気に関するルールが緩和された。このほか小さな変更点にはなるが、(3)の「社会的距離」が「必要な対人距離」に変更されている。

お客様の安全について

■入店時
※2022年12月13日の最終変更・追加点
〇食事中以外の適切なマスクの着用と咳エチケットの励行
〇人と人の間隔の緩和
〇入店制限の撤廃など

・店舗入口には、発熱や咳など異常が認められる場合は店内飲食をお断りさせていただく旨を掲示する。また、店舗入口には、手指消毒用に消毒液(消毒用アルコール等)を用意する
・店舗入口および店内に、食事中以外は適切なマスクの着用及び咳エチケットの励行をお願いする旨を、掲示する
・病気や障害等でマスク着用が困難なお客様には、個別の事情に鑑み、差別等が生じないよう十分配慮し、必要に応じてマスク着用以外に可能な感染対策をお願いする。
・飛沫感染・接触感染を防止するために密にならない間隔をとることが重要であることをお客様に理解していただく
・店内飲食やテイクアウトで順番待ちをする場合は、各人がマスク着用や換気の徹底を前提に人と人とが触れ合わない距離での間隔を空けるように誘導する(床に間隔を示すテープを貼るなど)
• 順番待ちが店外に及ぶ場合は、従業員が間隔を保つように誘導するか、または整理券の発行等により行列を作らない方法を工夫する

入店時における安全の確保について、大きく変更されているのは手指消毒用の消毒液の置き場所が「店舗入り口と手洗い場所」としていたのが「店舗入り口」のみになっている点。また、「マスクの着用及び咳エチケットを徹底」としていたのが「励行」に変更、「十分な間隔」が「密にならない間隔」に、「できるだけ1m以上の間隔」が「人と人が触れ合わない距離での間隔」に変更されるなど、表現が若干緩くなっていることがわかる。

また、「病気や障害等でマスク着用が困難なお客様には、個別の事情に鑑み、差別等が生じないよう十分配慮し、必要に応じてマスク着用以外に可能な感染対策をお願いする」が追加されているほか、「店内が混み合う場合は入店を制限する」という言葉が削除されている。

■客席へのご案内
※2022年12月13日の最終変更・追加点
〇従業員の立ち位置の制限解除
〇相席禁止の撤廃など

・テーブル席では、座席の間は、飛沫感染予防のためにパーティション等で区分するか、できるだけ1m以上の間隔を空けて座れるように配置を工夫する。カウンター席は密着しないように適度なスペースを空けるか、カウンターテーブルに隣席とのパーティション(アクリル板等)等で区分できるようにするなどし、横並びで座る人に飛沫が飛ばないよう配慮する
・少人数の家族や日常的に接している少人数の知人等の同一グループ、介助者が同行する高齢者・乳幼児・障がい者等が同席する場合は、上記の対応を行わないことができる
・グループ間の安全を確保するために、他のグループはできるだけ1m以上の間隔を空け、店舗内のスペースや構造上、物理的に間隔を空けた席の配置が難しい場合は、パーティションの設置や、スペースに余裕がある場合は斜めでの着席などを工夫する。

この項目は座席に関するガイドライン。小さな変更点になるが、注目したいのが「パーティションで区切る」から「パーティション等で区分する」への変更だ。また「・テーブル席は、真正面の配置を避けるか、または区切りのパーティション(アクリル板等)を設けるなど工夫する」という一文が削除されており、これまで客に煩わしさを感じさせていたパーティションに関する内容が大幅に緩和されている。また、少人数であっても「相席は避ける」とされていたが、それも解禁となった。席数に関する制限が緩和されたことにより、売上増につながる可能性もある。

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■テーブルサービスとカウンターサービス
※2022年12月13日の最終変更・追加点
〇アルコール消毒の頻度の緩和
〇大皿の利用や、鍋料理の取り分け不要など

・適時、アルコール消毒薬、次亜塩素酸ナトリウムでテーブル・カウンターを消毒する
・カウンターサービスは、可能な範囲で従業員とカウンター席との間隔を保つ
・カウンターでは、お客様と従業員の会話を想定し、従業員のマスク着用のほか、仕切りの設置などを工夫する
・スプーン、箸などの食器の共有、使い回しは避けるよう、掲示などにより注意喚起する
・お客様同士のグラスやお猪口の回し飲みは避けるよう、業態に応じ、掲示等により注意喚起する
・個室を使用する場合は、十分な換気を行う

この項目では大きな変更点が目立つ。まず、テーブルで従業員が注文を受けるときは、飛沫感染を防ぐために「お客様の側面に立つ」としていたが、この一文が削除された。つまり立つ場所の制限が解除されたということだ。またアルコール消毒に関しては、「お客様が入れ替わるタイミングや繁忙時間帯前後に」行うとされていたが、「適時」に緩和された。もちろん感染拡大を防ぐためのアルコール消毒は欠かせないが、細かな規定がなくなり、各店の判断に委ねられた格好だ。

また飲食店によっては対応に苦慮していた「大皿盛りを避けて、個々に提供する。鍋料理や盛り合わせの場合は従業員などが取り分ける」の文言も削除された。冬のメイン料理ともなりうる鍋料理における制限が解除され、従業員の負担が大幅に減る飲食店も多いだろう。制限されていた「お酌」も可能になっている。

■会計処理
※2022年12月13日の最終変更・追加点
〇食券販売機の消毒不要など

・会計処理時に現金、クレジットカード等の受け渡しが発生する場合には、適時手指を消毒する

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上條真由美

ライター: 上條真由美

長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人ライターを経て独立。インタビューしたり執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。