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一つ星『ラペ』松本一平シェフ、「コロナ禍だからこそできることに挑戦する」

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コロナ禍で提供していた「お楽しみラペBOX」の前で(ラぺ提供)

日本橋室町にあるミシュラン一つ星のフレンチ『La Paix』(以下ラペ)。新型コロナウイルスの影響で3月後半からキャンセルが出てきたものの、それほど売上は下がらなかった。しかし、海外のコロナ情報を知るにつけ、「4月はキャンセルが増えるだろう」と予測。緊急事態宣言が発令される前の3月末、4月1日から営業自粛を決断。「営業スタイルを改めるべきだ」と考えたが、具体策を見いだせずにいた。

そんな矢先、契約している農家から手紙と野菜が届いた。「お互い頑張りましょう」と書かれた手紙だった。レストランが営業自粛したら、生産者も多大な影響を受ける。そこで、これまで繋がりがあった生産者の食材を取り寄せ、「ラペBOX」と命名した料理の通販を開始。生産者とタッグを組み、コロナ危機を乗り切ろうとしたオーナーシェフ、松本一平さんに話を聞いた。

【注目記事】新型コロナの影響により飲食店の8割が売上減。「テイクアウト」の販促術を徹底リサーチ

今まで店を支えてくれていた生産者のために

テイクアウト商品を売ることも考えたが、テイクアウトは廉価な商品が主流だ。価格競争に加わると自分達の首を締めかねない。しかも対面販売には感染の危険もある。けれど、それ以上に、『ラペ』を支えてくれてきた生産者との関係を断ち切りたくなかった。これまで愛用してきた食材で料理を作り、配送することにしたのだ。

名付けて「お楽しみラペBOX」。価格は15,000円に設定。「どれだけ注文があるのか不安だった」ことから、30個限定(1個2人前)にした。しかも内税で送料込み。送料込みにしたのは、「売れる自信がなかった」から。5月から外税にしたが、送料だけは今も取っていない。

常連客にラペBOXの販売をSNSで告知したら、すぐに完売。第2弾もSNSで告知。50個限定(1個2人前で20,000円)にしたが、やはりすぐに売り切れた。松本シェフは語る。

「インスタグラムでラペBOXがどんどん広まっていきました。ボリュームを多めにし、2日間楽しんでいただけるコース料理に設定したことが良かったのかもしれません」

湯煎や電子レンジで温めるだけで気軽に食べられるところも人気を評した理由だろう。「ステイホームで外食に行けないときに、ラペBOXが届いて嬉しい」といったメールが数多く届いた。コロナとは関係なく、「子どもが小さくて外食できません。ラペBOXを歓迎します」というメールも寄せられた。『ラペ』の味に親しんできた人だけでなく、足を運んだことのない新しい顧客も獲得した。

「お楽しみラペBOX」の中身

顧客がハッシュタグ「#ラペBOX」を付けた画像をSNSに投稿

「お楽しみラペBOX」と命名したのにはワケがある。料理名を公表せず、食材をSNSで告知し、予約を取り、毎週金曜日にラペBOXを配送する。同梱されたメニュー表を見て、何が入っているのか初めて知る。だから「お楽しみラペBOX」というわけだ。

人気を評してきたのには、もう一つ要因が考えられる。取り寄せた客が、器やテーブルクロスとのコーディネイトも考え、インスタ映えする料理画像を撮影。コメントとともにハッシュタグ「#ラペBOX」を付け、インスタグラムなどのSNSに投稿したのだ。

「“料理研究家なのかな”と思いたくなるぐらいきれいに盛り付ける人もいます。自粛生活を続けている中で、自宅をレストランのように楽しんでいる印象を受ける画像が多いんですよ。僕も皆さんの投稿を見るのを楽しみにしています(笑)。料理そのものは温めるだけですが、きれいな器に盛り付けてもらえると料理も嬉しいはずだし、生産者も喜んでくれていると思います」

投稿画像を見た人も“食べてみたい”と共感したことで、ラペBOXが売れたのではないかと松本シェフは分析する。

「ステイホーム中、ラペBOXを媒介に家族の輪が繋がり、ハッピーになってもらえたらなあと思っていました。実際、僕が思い描いていたように大勢の方がラペBOXを楽しんでいただけたようです」

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中島茂信

About 中島茂信

CM制作会社を経てライターに。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』『101本の万年筆』『瞳さんと』『一流シェフの味を10分で作る!男の料理』『自家菜園のあるレストラン』。『笠原将弘のおやつまみ』の企画編集を担当。「dancyu web」や「ヒトサラ」、「macaroni」などで執筆中。