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飲食店の「新しい生活様式」への対応、事例5選。ウィズコロナ時代の店づくり

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画像素材:PIXTA

緊急事態宣言が解除されたものの、未だ予断を許さない状況が続いている。そんな中、注目されているのが、新型コロナの感染拡大防止策を取り入れた「新しい生活様式」だ。飲食業界でも「新しい生活様式」に対応している店が増えつつあるが、どのようなことを行っているのだろうか。飲食店の事例をいくつか紹介していきたい。

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お客様に検温やアルコール消毒、署名の協力を仰ぐ

『塚田農場』などの居酒屋を展開している、株式会社エー・ピーカンパニーでは、新型コロナ感染拡大防止策として、店内の換気やスタッフのマスク着用徹底、こまめな手洗い・消毒、店内消毒など、様々な取り組みを行っている。

こうした店側の対策に加え、お客様にも感染対策の協力を依頼している。入店の際に「検温・アルコール消毒」「横並び、もしくは斜向かいでの着席」「料理の個々の取り分け」「飲み回しの遠慮」など、8項目に渡る感染防止策を提示。お客様に同意の上、署名をお願いするという徹底ぶりだ。

また、居酒屋は宴会で利用されることも多いが、同社ではしばらく10名以上での利用を控えてもらったり、個別に提供できない料理が多い宴会コースの提供をやめたりするとのこと。一方で、ランチ営業の開始や一人向けメニューの開発を行うなど、新たな営業スタイルを追求している。

エー・ピーカンパニーの店舗に掲示されているポスターの一例

可動式の間仕切りを設置&抗菌コーティング

新宿にある全席カウンターのしゃぶしゃぶ店『ひとりしゃぶしゃぶ いち』。食材が回転ずしのようにレーンを回る、回転しゃぶしゃぶが話題となっているお店だが、6月に新しい生活様式に対応した店舗へとリニューアルオープンした。

リニューアル後も一人でしゃぶしゃぶを楽しめることに変わりはないが、座席の間に間仕切りを設置し、お客様が安心して食事ができる空間を提供。間仕切りを可動式にし、お客様がグループで訪れた場合は取り外すなど、臨機応変な対応を可能としている。

同店には4~10名で利用できる半個室もあるが、顔を見ながら食事ができる透明の間仕切りを用意することで、感染対策を行っている。このほかにも、店内に菌やウイルスの不活性化を図る、抗菌コーティングを塗布するなど、様々な視点から感染症対策に取り組んでいる。

『ひとりしゃぶしゃぶ いち』の店内の様子

5つの感染拡大予防策で衛生管理を徹底

国内外に100を超える飲食店を展開している株式会社ワンダーテーブルでは、6月の営業再開に伴い、密を避ける対策や衛生管理の徹底など、5つの感染拡大予防策を実施。その中には、「入店時のマスク着用」「入店時・トイレ利用後のアルコール消毒」「6名を超えたグループはテーブルを分けて案内」といったお客様への協力事項も含まれている。

密を避ける対策として、隣のテーブルとの間隔を1メートル以上あけることで、お客様同士が密集してしまわないよう配慮。希望に応じて「対面を避けられるテーブルへの案内」「アクリルパーテーションを用意」などの対応も行っている。スタッフとお客様が会話する際も1メートル以上の距離を保つことで、密にならないようにしている。

また、衛生管理も徹底しており、「お客様が退店後にテーブルや椅子を消毒」「メニュー表の使い捨て、または使用ごとの消毒」など、お客様が触れることが多いものをこまめに消毒。ドアノブやトイレも1時間に1回のペースで消毒を行うとしている。

ワンダーテーブルが運営する店舗では5つの感染拡大予防策を実施

ソースを“つける”から“かける”へ

大阪伝統の串カツを楽しめる『串カツ田中』も、新型コロナにより営業スタイルを変えた飲食店のひとつだ。感染拡大防止への取り組みとして、従業員の検温やマスクの着用、メニューや調味料容器の消毒などを行っているが、今回注目したいのがソースの提供方法だ。

『串カツ田中』といえば、二度づけ禁止のソースに串カツをつけて食べるのがお馴染みだが、政府が発表した新しい生活様式に基づきそのスタイルを一新。お客様に安心して串カツを楽しんでもらえるよう、ソースを“つけて食べる”から“かけて食べる”方式へと変えた。

新しい提供方法では、注文後にソースディスペンサーを提供。ソースを串カツにかけながら食べることになる。ただし、希望をすればこれまでの食べ方もできるとのこと。この場合は、ソースディスペンサーと空き容器を提供するという。

『串カツ田中』ではソースを“つけて食べる”から“かけて食べる”方式へ

接触8割削減を目指す、ウィズコロナ時代の居酒屋

新型コロナ対策として大切となる、人との接触を徹底的に避けた店舗運営を行っているのが、新宿にある居酒屋『KICHIRI』だ。同店では、「接触8割削減プロジェクト」として、入店から退店まで新しい生活様式に基づいたおもてなしを行っている。

一般的な店舗では、入店時にスタッフが直接お客様対応を行うが、同店では液晶モニターを通じてお客様を出迎え。座席への誘導も店内MAPを用いることで、スタッフとの接触を避けられるシステムになっている。

また、食事の注文は、お客様自身の携帯を使用してもらうモバイルオーダー方式を採用。料理の提供も座席横にあるスペースにフードカバーを付けて置くようにしている。会計の際もお金の受け渡しが発生しないキャッシュス決済を利用できるなど、お客様とスタッフとの接触を徹底的に削減した居酒屋となっている。

『KICHIRI』で採用されているモバイルオーダー

こうした新しい生活様式に対応した営業スタイルは、お客様やスタッフの安全を守るのはもちろん、お客様により安心して食事を楽しんでもらえることにも繋がる。実際に、テーブルの消毒をしたり、座席の間隔をあけたり、といった新型コロナ感染対策を飲食店に望むお客様は多い。もちろん店の魅力を損なわないこと、売上をしっかり確保できることが前提ではあるが、お客様のニーズに応えるためにも、まずはできる範囲で取り組んでみてはいかがだろうか。

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サトウカオル

ライター: サトウカオル

グルメ、ライフスタイル、ITとさまざまなジャンルの執筆を経験。現在は、ポップカルチャー系のウェブサイトでグルメ関連の記事を執筆中。趣味は、料理とネットサーフィン。ネットで気になった料理を自分流にアレンジして食べるのが最近のマイブーム。