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飲食店の時短要請は「ワクチン7割接種」で解除? 大阪府がコロナ出口戦略を検討

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画像素材:PIXTA

6月30日、大阪府は新型コロナウイルスにかかるワクチン接種の進捗に合わせて、社会経済活動を再開させる「ロードマップ(行程表)」の素案を公表した。その内容によれば、府民の6~7割(550~650万人)が接種を終えた段階で飲食店への営業規制などはすべて解除し、日常生活に戻していくという。「ロードマップ」は7月末までに策定し、8月から適用する方針だ。

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6~7割の接種が完了した段階で、飲食店への要請を全面解除の意向

素案は、同日の庁内会議において示された。「2回のワクチンの接種が完了した人数」と「重症病床の使用数」を組み合わせた指標に基づき、飲食店の営業時間短縮などの要請を段階的に緩和するとした、いわゆる「出口戦略」にあたるものだ。

ここでは、府民の4~5割(350~450万人)が接種を完了し、重症病床使用数が250床(府が確保を計画している床数)の半分を下回れば、飲食店への時短や酒類提供の自粛要請、大規模商業施設の時短要請なども解除できるとしている。

さらに6~7割が接種を終えれば「集団免疫」を獲得することになり、感染拡大の抑制がより可能に。その時点で飲食店などに対する要請はすべて解除する意向だ。また接種率が6割に達しなくても、重症病床使用数が50床を下回れば、同様の対応を視野に入れるという。

府内で2回目の接種も完了した人は7月4日時点で、約98万人。府は府民の6~7割の接種が終わるのは11月末と見込んでいる。

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規制が長期化する中、現状の見通しを示すことで理解を得る狙い

しかし、大阪府の「ロードマップ」の素案公表に関して庁内では「公表は時期尚早」との異論も出ている。吉村知事が素案段階での公表を行った理由は、飲食店への時短要請など、経済活動の規制が長期化する一方、当面は全面解除が難しいためだとされている。庁内にも「いつまで(規制を)続けるのか、出口を示さないと事業者の理解を得られない」とする意見があり、今後の行程における一定の透明性をはかったものと見られる。

一方、病床確保を担当する健康医療部は「素案とはいえ『出口』を示してしまうと、感染対策が緩みかねない」と公表には反対の立場。6月30日に行われた会議で同部は、「60歳以上のワクチン接種が完了したとしても、インド型の影響により1日当たり1,000人を超える新規感染者が発生する」との試算を提示し、指標に重症病床の使用数を用いる点を見直すよう求めた。

政府からのワクチン供給状況が安定していないこともあり、現状の「ロードマップ」素案には不確定な要素が多々残されている。とはいえ、飲食店をはじめとする多くの事業者は「終わりが見えない」状況そのものに心理的な負担を感じていることも事実。今回の大阪府の公表を受け、ほかの自治体も今後どのような動きを見せるのか注目だ。

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田中恵実子

ライター: 田中恵実子

編集プロダクション在籍時にグルメやライフスタイル、住まいなどをテーマとしたさまざまな雑誌・Webマガジンにて取材&執筆をおこなう。現在はフリーランスとして、女性向けショッピングサイトなどの編集執筆を担当。世代より少し上の歌謡曲やJ-POPを愛聴。