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飲食店の倒産件数、2021年は前年比27%減。時短協力金が功を奏したか

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画像素材:PIXTA

2020年は新型コロナウイルスの影響で飲食店の倒産が相次ぎ、過去最多の件数を記録した。同年12月からは協力金給付が開始され、2021年9月には緊急事態宣言などが全面解除となったが、倒産件数に変化はあったのだろうか。

今回は企業の信用調査やマーケティングなどを行う帝国データバンクが発表した、2021年の飲食店の動向調査の結果を抜粋してご紹介する。

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2021年の飲食店の倒産は前年比27.1%減の569件

2021年中に発生した飲食店の倒産は、前年比27.1%減の569件だった。前年の780件から200件超の減少となり、500件台は2016年以来5年ぶり。また、自主的に事業をたたむ休廃業・解散件数も前年比8.7%減の494件だった。

飲食店は、コロナ前から消費税の引き上げやパート・アルバイトを中心とした深刻な人手不足により、倒産は増加傾向にあった。そうしたなか、2020年はまん延防止等重点措置の適用や緊急事態宣言の発出による休業や時短営業、外出自粛などで外食需要が消失。年間では過去最多となる780件を記録した。

飲食店倒産・休廃業解散件数

特にアルコールの提供制限を受け、宴会需要が大きく消失した居酒屋への影響は大きく、2020年4月に過去最多となる23件が発生。年間でも189件と、2019年の161件を30件近くも上回り、最多を更新した。しかし、協力金給付が開始された2020年12月以降、居酒屋の倒産件数は減少。2021年は前年から22件減り、167件だった。

居酒屋倒産件数

アルコールの提供機会が多い業態で倒産件数が大幅減少

飲食店のうち、前年と比べて最も倒産件数が減少した業態は、接待などで利用される日本料理店で29件の減少。次いで、イタリアンやフレンチなどのレストラン(28件減)、中華・エスニック料理店(24件減)、バー・ナイトクラブ(23件減)、居酒屋(22件減)と続く。倒産件数が大幅に減少した上位はいずれも、アルコールの提供機会が多い業態だった。

飲食店業態別 件数比較

営業赤字が8割を超えるも、そのうち約半数が最終黒字

2021年度(2021年4月〜2022年3月)の飲食店の業績(2021年12月時点の予想・見込値を含む)のうち、前年から「増収」となる企業は約1割にとどまり、多くが前年並みか、さらに下回る売り上げ水準を余儀なくされている。

利益面では82.0%が営業赤字となっているが、営業赤字の企業の49.8%が当期純利益は黒字としている。その要因は、時短協力金などを特別利益として計上したこと。上場している飲食店事業者でも時短協力金で利益が大きく押し上げられたケースもあり、飲食店への支援金が経営面でプラスに働いている。

増減収動向

2021年秋以降は緊急事態宣言などが全面解除され、年末年始の書き入れ時に一定の集客を確保できた飲食店も多い。しかし、オミクロン株の感染急拡大により、まん延防止等重点措置が多くの都道府県で適用され、飲食店では認証店と非認証店で差はあるものの、休業や時短営業などがはじまった。外食需要が再び縮小することも懸念され、飲食業界はまだ厳しい状況が続きそうだ。

今後も生き残っていくためには、アフターコロナを見据え、人材確保や業態転換、設備投資など、長引くコロナ禍で移り変わる消費者のニーズを的確に捉え、マッチした施策を打ち出すことが重要となるだろう。

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上條真由美

ライター: 上條真由美

長野県安曇野市出身。ファッション誌・テレビ情報誌の編集者、求人ライターを経て独立。インタビューしたり執筆したり、平日の昼間にゴロゴロしたりしている。肉食・ビール党・猫背。カフェと落語が好き。