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NTTビジネスソリューションズが“つなぐ力”で実現する「サステナブルな食品ロス削減」

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NTTビジネスソリューションズが提供する「地域食品資源循環ソリューション」。廃棄ごみと廃棄コストを減らし、地域経済の活性化に貢献する

SDGs(持続可能な開発目標)の認知向上に伴い、消費者の食品ロスに対する視線は厳しくなりつつある。食品業界では食品ロス削減にさまざまな方法で取り組んでいるものの、実効性を確保できずにいるのが現状だ。持続可能な食品ロス対策の確立が求められているなか、食品関連事業者と農家をつないで“食品資源の地域循環”を実現する、NTTビジネスソリューションズの取り組みに迫る。

食品ロス削減と地域経済の活性化に貢献

日本における2008年度の食品廃棄物量は約2,531万トン。このうち食品業界での排出は約1,800万トンに上る。2019年に施工された「食品ロスの削減の推進に関する法律」いわゆる食品ロス削減推進法により、自治体主導で食品ロス削減が求められるようになった。しかし、食品業界における食品ロス削減の取り組みは一様ではない。業種別のリサイクル率を見ると、食品製造業は95%である一方で、食品卸業は62%、食品小売業は51%、外食産業は31%に留まっている(出典:農林水産省「食品廃棄物の年間発生量及び食品循環資源の再生利用等実施率(平成30年度推計値)」)。

そのようななか、NTT西日本のグループ企業であるNTTビジネスソリューションズでは、食品ロス削減を実現する「地域食品資源循環ソリューション」を提供している。同ソリューションは食品資源の地域内リサイクルコミュニティを実現することで、食品ロスを削減しながら地域経済の活性化に貢献する取り組みだ。この取り組みのねらいについて、同社スマートアグリs事業部・統括部長の中山 実氏は次のように説明する。

「NTT西日本グループでは2020年より“Smart10x”として、NTT西日本グループ各社やパートナー企業と連携の上、10の分野で地域の課題解決に資するサービスラインナップの強化を図っています。その一角を担うのが“スマートアグリs”。食品業界では生産から販売、消費に至るバリューチェーンにおいて、さまざまな課題が発生しています。そのひとつが食品ロスだと認識しています。食品ロスは多様なプレイヤーが連携することによって削減できるもの。NTT西日本グループが積み上げてきた各事業者を“つなぐ力”が活かせる分野だと考えています」

NTT西日本グループが2020年から取り組んでいる“Smart10x”。そのうちの1分野として“スマートアグリs”がある

“スマートアグリs”で取り組む「地域食品資源循環ソリューション」は、市場や生鮮食品取扱事業者、飲食店等が食品残渣発酵分解装置(業務用コンポスト)「フォースターズ」を設置するところから始まる。設置後にフォースターズ内で食品残渣(食品由来のごみ)をサーベリックス®(枯草菌)の効果で発酵分解し、一次発酵物を生成、一次発酵物はリサイクルセンター(2022年2月現在、全国に25拠点)が回収。リサイクルセンターで二次発酵、三次発酵され完熟堆肥となり、農家へ提供や販売を行う。つまり、これまで廃棄されるはずだった食品残渣が、堆肥となって農家に届き、その堆肥で養われた土壌で栽培された農作物が、市場等に流通するという仕組みだ。※サーベリックス®はアサヒバイオサイクル株式会社の登録商標です

「地域食品資源循環ソリューション」の仕組み。 食品残渣が堆肥となり、それで育てられた農作物が流通する循環の流れを示す

初期費用ゼロで廃棄物処理費用を大幅削減

業務用コンポストは大まかに「消滅型」と「熱処理型」がある。「消滅型」は食品残渣を消滅させるものだが、“分解対象の食品が限られている”、“排水濃度の高い汚水が流れてしまう”という課題がある。つまり、排水濃度で自治体の規制に抵触し、導入することが難しいケースが出てきてしまう。一方の「熱処理型」は乾燥させて減量化を図るものだ。このタイプは“電気代が高額”などの課題がある。両タイプともゴミの減量(あるいは消滅)は可能であるものの、運用課題の解決は容易でない。また、初期費用が高額であるケースも多く、導入のハードルはかなり高いといえるだろう。業務用コンポストの導入を検討したことがある企業は多いだろうが、上述した課題に直面して諦めてしまう例も多い。

食品残渣発酵分解装置「フォースターズ」は、分解対象の食品数が多いだけでなく、分解が速いことも特徴

フォースターズは、そのような従来の業務用コンポストのデメリットを克服するものだ。分解対象の食品残渣の種類は多く、分解速度も早い。食品残渣を24時間から48時間で10分の1、最終的には20分の1程度にまで減量化できる。これだけのスピードが確保されていれば、コンポストからゴミがあふれてしまうことはないだろう。また、好気性微生物発酵により気になる腐敗臭はほぼないという。さらに、電気代や水道代等の運用コストは低く抑えることができる。月額レンタル方式(保守メンテナンス料や堆肥化促進剤料金等を含む)を採っているため、初期費用ゼロで導入できることもポイントだ。中山氏は「新たに業務用コンポスト導入のための予算を取る必要はありません。レンタル料と比較すべきは毎月の廃棄物処理費用。レンタル料のほうが低い場合、廃棄物処理費用を削減できる可能性があります」と話す。中山氏によると、本ソリューションを導入することで、廃棄物処理費用を半額以下にまで削減できたケースもあるという。

業態や規模を問わず800台以上の導入実績

装置の蓋を開けて、ゴミと堆肥化促進剤を入れるだけというシンプルさも、導入の決め手となっている

実際に地域食品資源循環ソリューションを導入した企業では、どのような効果を得ているのか。東海および関東を中心にステーキハウスを運営する『ステーキのあさくま』では、廃油を軽油に精製する等食品ロス削減に関する積極的な取り組みを行ってきた。同社では「食品をゴミとして処理していいのか」という問題意識が根付きつつあるという。食品ロス削減でSDGsに貢献し、企業の社会的責任を果たすべきではないか。そんな機運が高まるなかで、コスト削減効果が見込めることも相まって、地域食品資源循環ソリューションを導入した。

「SDGs実現に向けた新たな取り組みが実施できたと喜んでいただいています。幅広い食品残渣が分解可能なことも、選んでいただいた理由です。店内ではポップ等で食品ロス削減の取り組みを掲示。ブランドイメージの向上につながっているようです。今後、導入店舗数も増やしていく予定とお伺いしています」(スマートアグリs事業部・マネージャー 鈴木陽介氏)

アウトレットモールのフードコートや飲食店街等においては、フォースターズを食品残渣の共通処理基盤として導入するケースもある。導入店等では“回収の時間を気にせずに済む”、“開けてゴミや堆肥化促進剤を入れるだけ。複雑な日本語マニュアルを理解するのが難しい外国人労働者の方でもマニュアルなしで使える”等の声があがっているという。

堆肥を活用する生産者に目を向けてみよう。いまや食卓に欠かせないカット野菜向けの農作物を生産する岡山県の大規模農業法人青空(株)では、フォースターズを経由して作られた堆肥を活用してレタス、キャベツ等の葉物野菜を栽培。“良質な堆肥が低価格で手に入る”、“野菜の収量および品質が向上する”等、好意的な声が聞こえてきている。

現在、フォースターズの普及台数は800台超。最大処理能力に応じて複数のラインナップが用意されているため、食品残渣の排出量や施設の規模に応じて柔軟に選択・設置が可能だ。

“排出後”も考慮した食品ロス削減を

食品業界における食品残渣を排出しないための取り組みは進んでいるが、それだけで食品ロス削減は難しいのが実態だという。「“食品残渣の排出後”をどうすべきかについて、考えることも必要ではないか」と鈴木氏は指摘する。

「当社の強みであるICTも適宜活用して食品業界のさまざまなプレイヤーをつなぎ、食品の地域循環の輪を太く、強くしていきたい。フォースターズによる発酵物を受け入れるリサイクルセンターの拡充や協力農家数の増加にも取り組みます。そうすることで、食品ロス削減という社会課題解決とビジネスの両立を実現したいですね」

今後、SDGsのさらなる進展等に伴い、食品業界に対する消費者の選択眼はさらに研ぎ澄まされていくだろう。2020年10月に日本政府が「2050年カーボンニュートラル」を表明したことに伴い、脱炭素化も課題としてのしかかる。食品ロス削減をどのように果たすのか。転機が訪れている。

■地域食品資源循環ソリューションの詳細はこちらから

[提供] NTTビジネスソリューションズ株式会社

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ライター: 『飲食店ドットコム ジャーナル』編集部

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