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「BA.5対策強化宣言」各地で発令。飲食店は時短営業回避も、客足への影響に懸念

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画像素材:PIXTA

新型コロナウイルスの新規感染者数は、2日には全国で21万人を超えて過去最多となった。第7波にあたる変異株BA.5の感染急拡大を受けて政府は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの全国一律の行動制限は行わず、都道府県ごとに発令する「BA.5対策強化宣言」を新設することを決定した。

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要請内容は「換気の徹底」だが、自粛ムードの広まりに懸念

BA.5対策強化宣言では、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で求められてきた飲食店への営業時間短縮や休業の要請・命令は含まれず、常時の感染対策と同様に「十分な換気の徹底」や、「少人数でのマスク会食の推奨」などに留まっている。この宣言下での主な対策は、重症化リスクの高い高齢者らに混雑した場所への外出自粛を要請するほか、混雑緩和のためテレワークを推進するというもの。また罰則規定もないため、注意喚起を促すという印象が強い。

仮にBA.5対策強化宣言が出された場合、営業自粛の必要がないとはいえ、高齢者らの行動規制と在宅勤務の推奨は、外食産業へのダメージになりえる。また宣言発令によって、自発的な外出自粛ムードの創出につながり、客足が遠のく恐れは否めない。まして夏の行楽シーズン、帰省ラッシュを控えたこのタイミングだから、なおのことである。

宮城、東海3県等では発令に向け準備を開始

BA.5対策強化宣言の大きな特徴として、発令の主体が政府ではなく、都道府県である点が挙げられる。各地の新規感染者数や病床使用率の推移にあわせて、柔軟かつ迅速に判断されることを期待し、都道府県にその判断が委ねられた。

宮城県は1日、さっそく宣言発令へ向けて準備を開始した。病床使用率が2021年冬のピークを上回ったことや、入院患者のほぼ全員が中等症以上であることから、宣言の基準を満たしたと説明している。

また、愛知県も「今週中にもどこかで踏み出せれば」と発令の考えを明らかにした。翌週に控えた帰省ラッシュに備え、事前検査の徹底や高齢者らの外出自粛を促したい見込みだ。愛知県知事の「できれば岐阜県、三重県とも足並みを揃えたい」との発言に応じて、三重県も発令する意向を発表。東海3県での同時発令に向けて前向きに検討されている。

そのほか、すでに神奈川県、鹿児島県でも宣言が出され、6日までに新潟県でも発令される見通しだ。

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東京・大阪は慎重な姿勢。発令見送る発言も

一方、東京都では「効果がどれくらいのものか見極めた上で判断したい」と、慎重な考えを示した。また大阪府は、7月28日から府独自の宣言である「医療非常事態宣言」を発令しており、高齢者らの不要不急の外出自粛を求めている。BA.5対策強化宣言と内容が重複していることから、「早急に出すものではない。すでに同等のものを出している理解」として、発令を見送る発言があった。

このように都道府県によって、その判断には大きく違いが出ている。3年ぶりの行動制限のない夏休みだが、BA.5対策強化宣言は飲食店への客足にも大いに影響しそうだ。

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。