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“顔の見える”投稿で来店促進。『ハチカフェ阿佐ヶ谷店』のインスタグラム集客術

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『ハチカフェ阿佐ヶ谷店』の店長・安藤萌野さん(右から2番目)

「食」はすべての人にとって、生活のもっとも身近にあるもの。ならば飲食店は、暮らしや心のベースとして機能する場所ともいえるだろう。だからこそ、「店に来ない時でも近くに感じてもらえる存在でありたい」と、インスタグラムを通じて積極的に客とコミュニケーションを取るのは、都内にあるタルトとサンドイッチのカフェ『ハチカフェ阿佐ヶ谷店』の店長・安藤萌野さんだ。

現在約1万人のインスタグラムフォロワーを持つ同店だが、オープンしたのはコロナ禍による行動制限がもっとも厳しかった2020年4月。リアルに人と触れ合うことにネガティブな日常が続く中で、SNSで着実にファンを増やし、来店につなげてきた。

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インスタに綴られるのは等身大の言葉。「安心してお店に来てもらえればと思って」

愛知県に本社を持つエイトデザイン株式会社が手掛けるハチカフェは、現在同県に2店、都内に1店をかまえる。「スイーツも野菜も」という共通のブランドメッセージを軸に、企画や運営は各店舗担当者が担うという地域密着型の方針を取っている。

愛知県出身で阿佐ヶ谷店の店長を務める安藤さんがこの店に掲げたコンセプトは、「コミュニティスペース」だ。

「小さい頃から飲食店で働くのが夢でした。自分が作ったものを美味しいと喜んでもらえることはもちろん、食という生活の根幹の部分で人と関われる、これほど幸せなことはありません。だからこそ、性別も年代も問わずあらゆるパーソナリティーの人にとって親しみやすく、笑顔になれる街の憩いの場でありたいと思っています」

安藤さんがその思いを発信しているのが同店のインスタグラムだ。機械的に情報配信をこなすのではなく、伝えたいことがある時には日に何度も投稿したり、時には店や客、商品への愛をただただ熱く語ることも。そこに堅苦しい表現は一切なく、まるで友人へ宛てたメッセージのような感情がのった言葉が綴られている。

店内にはキッズスペースやオムツ替え台も完備

「自分の言葉で発信することを何より大切にしている」と安藤さん。商品に込めたメッセージやスタッフの人となりが自然と伝わるような、“顔の見える”投稿を心がけていると話す。

「私自身が、初めて行く店は緊張するタイプなんです。だから、来店したことがない人にも店の雰囲気や考え、スタッフの顔、キャラクターをあらかじめ知ってもらうことで、安心してお店に来てもらえればと思って」

インスタグラムは写真投稿がメインとなるアプリだが、彼女はあくまで言葉を使ったコミュニケーションツールだと言い切る。実際に、事前にインスタグラム上でコメントやメッセージのやり取りをしてから訪れる客も多く、幅広い客層の来店につながっているのだそう。特にカフェという業態は、男性や年配の客にとって、入店すること自体が高いハードルになる場合もあるが、前もってSNSでコミュニケーションを取ることで、初めての来店であっても不思議と“馴染みの店”に近い感覚で来てくれていると話す。

そんな潜在顧客は全国におよび、遠方在住の来店したことがないフォロワーとコメントやメッセージのやり取りを重ねることも少なくない、と安藤さんはいう。

「連絡をくださったお客様のアカウントはできるだけ覚えるようにしていますし、返信もします。関連ハッシュタグや位置情報も毎日すべてチェックします。やっぱり飲食店は、人がいてこそ成り立つもの。私はお客様と関わることが楽しいですし、たくさん元気をいただいています。お客様にとってもハチカフェ阿佐ヶ谷店と関わることが、リアルでもSNS上でも幸せにつながるものであれば嬉しい」

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RIN

ライター: RIN

カフェライター・エディター。街の小さな一軒からトレンドカフェ、昔ながらの喫茶店まで、カフェという場を通じて幸せを提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。ライフワークは"スコーンの人"(IG:@rin_125)。