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初の立ち上げで月商700万円達成の渋谷『大人気』。集う人を幸せにする兄弟の唯一無二の店づくり

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酒場通には嬉しい花月炭酸のソーダ水と、オリジナルグラス

あえて作る「違和感」で、グルーヴ感を生み出す

繁盛している大衆酒場の人気の理由は、居心地がいいから、料理が美味しいからだけではない。椅子が詰まっていてちょっと窮屈だったり、不思議なところに物が配置されていたりと、活気を演出するための合理性を越えた“違和感”が必ずある。

「僕らが大衆酒場に魅了されてきたのはそういう違和感なんです。酒が入ればそういうところからお客さん同士のグルーヴ感が生まれて、ただ食べて飲むだけじゃない体験になる」と二人は語る。

『大人気』にも、内装やレイアウトに違和感が盛り込まれている。例えば、テーブルのように張り出した部分のあるコの字型の木製カウンター。椅子とテーブルの配置とあいまって、混雑時にはお客さん同士がスペースを譲り合うように座らなければならず、後ろを通る動線もなくなる。

「カウンターの張り出したテーブル席は、施工業者に『使いづらいですよ』って言われたんですが、うるせえよって(笑)。カウンター接客なのにテーブル席っていうイレギュラー感が僕らのキャラクターにも合っていたし、2人を相手するよりも、4人を相手した方がグルーヴ感もめちゃくちゃ大きくなる。ここにノリのいい子たちが来ればもうここだけでお店全体が盛り上がる。そんな演出も兼ねています」(康太氏)

左手前に見えるのが、四人席テーブルが張り出したカウンター

“18時~翌5時”の営業で、朝方に売上が5~10万円伸びる

『大人気』の営業時間は18時~翌5時。深夜2時ごろで閉める店舗が多いというこのエリアの中では、比較的長い時間、営業している。「普通なら昼に出勤して仕込みをするお店が多いと思うんですが、仕込みだけやってるのって僕らにとって一番楽しくない時間なんですよ。だったらお客さんと話しながら仕込みできた方が楽しいので」と康太氏。

仕込みは前日の深夜に済ませているため、店への出勤は17時。翌5時に上がれば拘束時間は11~12時間となり、昼から仕込みを始めて翌1時に閉店する飲食店と大差はない。もっとも、仕事の後に飲んでしまうこともザラだそうだが。「仕事明け、やりきったあとにみんなで飲む一杯は最高なんですよね」と康太氏。『大人気』も周囲の飲食店関係者の仕事終わりの飲み会に利用されることも多く、朝方に売上が5~10万伸びることも珍しくないそうだ。

徹底的にお店都合を排除。「あえて名物を作らない」メニューと価格設定

おでんと串物という二大酒場メニューを軸に、バランスを意識して組み立てたというメニュー。一番の特徴は「おすすめ」や「名物」を作っていないこと。

「おすすめのメニューがある店って、原価率が低い料理だとか、仕入れを読み違えて余ったものだとか、いろいろ“こっち都合”が詰まっていると思うんです。それは悪いことではないんですが、僕らはやりたくなかった」(康太氏)

反面、こだわった部分は、お客からのあらゆる要望に対してきちんと応えられるものを揃えるようにした点だ。お客の求める様々な要望に対して迷わず、すべて何らかの回答を出せるようにと考え抜いて構成したという。

あさり出汁のおでんは180円から

さらにこだわっているのは、価格設定。「大阪の飲み屋の『こんな安くていいの?』っていう感覚を届けたかったんです」と健太氏の言う通り、串180円~、おでん180円~、とターゲットの20代でも頼みやすい価格設定だ。さらに原価率は30%をきっちりと守ることを心がけている。「これを28%にしたから偉いなんて思ってないんですよ」とは康太氏。

提供方法にも随所に工夫がちりばめられている。例えばポテトサラダ(220円)は「前菜でお腹いっぱいになりたくない」という自らが持つお客目線から、1人前で提供する。漬物盛合(200円)も同様に小さめのポーションにしており、「少しだけ食べたい」という時にも対応してくれる。おでんの端材を使っているという端材キムチ(90円)は、「本来捨てる部分なので、数百円なんて申し訳なくて取れない」とこの価格だ。「飲食店が成り立つのって、お客さんが『いいね』と思って、また次も来てくれるから。だからこそ適正価格がいいんです」と健太氏。

「造り」「あて」「おでん」「串」「ごちそう」「炒めもの」「〆」「別腹」と酒飲みには単語だけで嬉しいカテゴライズ

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集う人々の幸せを考える店づくり

膨大な飲食店視察と兄弟の多彩な仕事経験がベースとなり、店づくりのあらゆるところにアイデアが散りばめられた『大人気』。数字的な目標は坪月商50万円(月商900万円)と設定はしているものの、スタッフでもお客でも、そこに集う人の幸せを第一に考えることが今の目標だと語る二人。飲食店で最も大事なことは「人間関係」であるという考えが、オープンしてからより強くなったという。

兄弟の人柄こそが、この店の名物だ

「僕らは人が大好きなんで、誰かとやるのが楽しくて仕方がないんですよね」とにこやかに話す砂田兄弟を慕って人は集う。求人をかけずともスタッフが30名ほど集まり、今はシフトを削ることもあるという。彼らの受け皿となる次の店舗についても構想中だとか。

「スーパー料理人やスーパーマネージャーがいなくても、とにかく人間関係がいいお店が本当の『いいお店』だと思っています」と康太氏。お客とスタッフ、スタッフ同士が対等な立場で店を盛り上げられるのが酒場のいいところだとしみじみと話す。

渋谷にさっそうと現れた大衆酒場『大人気』。兄弟二人の“酒場愛”、そして“スタッフも客も幸せにしたい”という思いが店に活気を与え、そこに自然と人が集まる好循環を生み出しているのだろう。渋谷のディープエリアに誕生した新しい名所にこれからも目が離せない。

『大人気(おとなげ)』
住所/東京都渋谷区道玄坂2-22-2 渋谷道玄坂1956 2F
電話番号/03-6455-3455
営業時間/18:00~29:00
定休日/不定休
坪数客数/18坪40~45席
客単価/2500~3000円
オープン日/2022年8月17日
月商/700万円

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