値上げしない宣言の『サイゼリヤ』。価格高騰の狭間に揺れるファミリーレストランの現状

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すかいらーく、ロイヤルホールディングス各店は値上げ。背景に増収減益の実情
一方、『ガスト』や『バーミヤン』などのファミリーレストランを全国に展開するすかいらーくホールディングスでは、2022年9月22日に価格改定を発表。その理由としてグループ全体でサプライチェーンの効率化を図ってきたが、品質を維持するため価格維持は難しいことを挙げた。
今回、値上げが実施された商品数は、グループ全体で約4割(値上げ率平均5%)、ガスト全体で約5割(同平均約5.6%)となった。
また『ロイヤルホスト』を展開するロイヤルホールディングスは、アルコール関連商品全20品中17品の値上げを2022年10月4日に発表した。値上げ開始は10月20日から、値上げ率は2〜11%となっている。天丼チェーン『てんや』も同様の値上げを行うとした。
ロイヤルホールディングスでは7月13日に主力商品の値上げをすでに実施しており、コスト高を吸収できない状況が続いていると推測できる。
コロナ禍の収束が見え始め、飲食店にも賑わいが戻ってきている。すかいらーくホールディングスも、ロイヤルホールディングスも直近の決算では増収を計上した。しかし両社とも減益となっており、値上げを回避できなかった模様だ。
今回、『サイゼリヤ』が値上げをしなかったことで、価格の手頃さがさらに際立ち、一部の一般消費者からは歓迎の声も上がっている。企業努力が評価される一方で、国内における慢性的な安値思考に警鐘を鳴らす意見もあり、適正価格をめぐる議論は今後も続くとみられる。
