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8坪・月商900万円『ホルモン人生タロちゃん』が桜新町に新店! 仕掛け人に聞く繁盛の極意

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『ホルモン人生タロちゃん』『焼肉人生タロちゃん』を手がける肉マイスターの田辺晋太郎氏

一般社団法人「食のコンシェルジュ協会」代表理事で“肉マイスター”としても有名な田辺晋太郎氏。2021年10月に初オーナー店として中野『ホルモン人生タロちゃん』をオープンし、今年9月にはフランチャイズ店の『焼肉人生タロちゃん』自由が丘店と、直営店『焼肉人生タロちゃん』桜新町店を出店した。焼肉業態での出店を相次いで行う田辺晋太郎氏に、焼肉店経営の極意や、焼肉業界の現状や今後を聞いた。

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肉の仕入れ、調理、企画のプロ集団「トリプルスリー」が手がける
『ホルモン人生タロちゃん』『焼肉人生タロちゃん』

これまで肉マイスターとして焼肉本の出版や、焼肉店のプロデュース、商品開発など肉に関するさまざまな取り組みを行なってきた田辺氏。

「少し前までコース2〜3万円のイベントっぽい焼肉店が続々オープンした時代がありましたよね。自分もそういったお店をプロデュースして牽引してきた立場でもあるのですが、本来自分が焼肉に対して思っていることって何だろうと改めて考えるようになって。そしたら客単価5,000〜10,000円で普段使いできて、いろいろな友達にも来てもらえるような、美味しい焼肉店という姿に原点回帰しました」

田辺氏は『ホルモン人生タロちゃん』のオープン経緯をそう振り返る。手がけるのは田辺氏含む3名で新たに立ち上げた、トリプルスリーという飲食企業。焼肉店の副料理長を務め、三宿の人気焼肉店『六甲園』で研鑽を積んだ料理のプロ、焼肉店を長く経営し牛肉の生産者とのパイプが太い仕入れのプロ、アーティストプロデュースを行ってきた企画のプロである田辺氏の三人が手を取りあった会社だ。

中野の物件を紹介されたのと時を同じくして、田辺氏は福岡県南小倉で60年以上続いた大好きな焼肉店の閉店を知る。その味を引き継ぐ人がいないと聞き「ぜひ継がせてください」と田辺氏は申し出る。その後、タレのレシピを引き継ぐべく料理長が修業を重ね、晴れて自身の店で提供するに至った。

「寺門ジモンさんと焼肉を食べに行くと、『やっぱり歴史というものには敵わない』という話をよくされていて。僕らは運よく新店ながら60年以上続く焼肉店のタレを継承するという強い武器を持つことができました。だからこそ、失敗するわけにはいかないと思っています」

九州醤油ダレか酢味噌ダレを選べる「いろいろ生ホルモン」1,980円。湯引きミノの昆布締め、センマイ、ハチノス、ツラミ(頬)にエゴマの葉、ネギ、ガーリックチップ、漬け卵黄、からし、スダチが添えてある。別皿には焼いて食べるレバーも

タロちゃんブランドの武器はタレだけではない。使用している牛肉が、但馬太田牛と川岸畜産の神戸ビーフの牝牛という、高級店も顔負けの希少で質の高いブランド牛を扱う。ホルモン類も但馬牛もしくは、芝浦市場直送の国産ホルモンをメインに使用している。「安く済まそうと思えば可能だし、きちんと良いものをしっかり食べて飲んで満足することもできる、そんなお店を目指しました」と田辺氏が語るように、提供価格は手頃に抑えつつ、フード・ドリンクの原価率は約35%をキープしている。

さらに田辺氏自身の食べ歩きの経験から、「焼肉に至るまでのお酒や前菜から楽しめる店でありたい」と、従来の町焼肉になくて、あったら嬉しいと思うものを揃えた。例えば前菜系には、定番のキムチやナムルだけでなく「干し豆腐とパクチー」など、焼肉以外でも酒が進む一品料理を複数揃える。「前菜でも美味しいと思ってもらいたい。また、ホルモン人生ブランドでは『肉を焼かなくてもいいかな』と思ってもらってもいいぐらい大衆酒場としての要素も強めました」と話す。

写真の「山椒翠ハイボール」(660円)のほかカルダモンを使ったアルコールドリンクもある

お酒も定番のビールやハイボールだけに留まらない。サントリーのジャパニーズジン「翠」に山椒を漬け込んだ「山椒翠ハイボール」など、スパイスを使った店オリジナルのドリンクも開発した。またホルモンに使われている自家製の味噌ダレの発酵感に合うと、ナチュラルワインも複数取り揃える。ただ焼肉にお酒が合うというだけでなく、焼肉とのマリアージュを楽しめるようなドリンクのラインナップにした。

最近増えてきているネオ大衆酒場と町焼肉を組み合わせた “ネオ町焼肉”といった趣で、高級焼肉店に匹敵するブランド肉を扱うタロちゃんブランド。かつてなかったこの焼肉店のコンセプトは狙い通りブルーオーシャンだったようで、8坪16席で月商は平均約900万円、坪月商約113万円という信じられない数値を叩き出している。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。