飲食店ドットコムのサービス

8坪・月商900万円『ホルモン人生タロちゃん』が桜新町に新店! 仕掛け人に聞く繁盛の極意

LINEで送る
Pocket
follow us in feedly

個室やボックス席を配し、ファミリーでも利用しやすいようにした『焼肉人生タロちゃん』桜新町店

【注目記事】「来店客の8割がインスタ経由」の肉バルに聞く、コロナ禍でも強い飲食店のSNS活用術

三世代が楽しめる焼肉店を追求した『焼肉人生タロちゃん』桜新町店

繁華街にあって、気軽に良いものを食べて飲める大衆酒場的な町焼肉の『ホルモン人生タロちゃん』。一方2022年9月にオープンした『焼肉人生タロちゃん』はファミリーでも楽しめるお店を目指したと田辺氏は話す。

「桜新町の物件が出てきたときに『酒場系のノリでいいのか?』と疑問に思って。客層的に個室もあるきちんとした雰囲気の焼肉店の方が合うと感じて。そして立地的に子供も楽しめるお店にしようと思いました。僕自身、子供が二人いるのですが子供が楽しいお店が、必ずしも大人が行きたいお店ではないことが多く。子供も楽しくて、大人もお酒や美味しい料理を食べられる、さらにはおじいちゃんおばあちゃんを含めた三世代の家族みんなが行きたいと思う焼肉店を目指しました」

店舗作りや商品開発、売り方の工夫には田辺氏が師匠と仰ぐ三人の人物の教えがあるという。宇多田ヒカルのプロデュースで知られる元東芝EMIの三宅彰氏、少年隊、SMAPなどのプロデュースで知られる作家事務所の社長・鎌田俊哉氏、『牛角』創業者で現在は『焼肉ライク』などを運営するダイニングイノベーションの西山知義氏だ。業種は違えど、世の中に広く受け入れられるヒットの仕掛け人であることは共通する。「自分もミーハーなので、みんなが喜ぶものを作りたいと思っています」。

店舗を展開するにあたって田辺氏が心掛けた「釣りたい魚の帯域に合わせる」というのも西山氏の言葉だ。『焼肉人生タロちゃん』桜新町店は12歳以下のドリンクを無料とし、おもちゃも用意した。「子供の心を掴めばそこに大人がついてきます。またファミリー向けの店舗であれば、繁華街だけでなく住宅街にも進出しやすい。今後のフランチャイズ出展も見据えた戦略です」と田辺氏は語る。

「神戸ビーフ100%タロちゃんバーグ」2,750円に使う卵黄をはじめ、同店では「日本一のこだわり卵」を使用

そんな桜新町店で三世代に愛されている看板メニューの一つが「神戸ビーフ100%タロちゃんバーグ」だ。

「母親が作ってくれたハンバーグって、ソース含め高級店には及ばないはずなのに、肉汁とソースが合わさったときにすごく美味しいという記憶があって。そんなハンバーグをどうにか看板商品にできないかと考えていた時に、とある有名焼肉店で常連さんに勧められた並ハラミがヒントになりました。

そのお店では並ハラミだけ焼肉のタレにケチャップを混ぜて食べていたんです。タロちゃんブランドではホルモン用の味噌ダレがあったので、それとケチャップを合わせてハンバーグにかけてみたら抜群に美味しかったんです。さらにもう一つ独特のプレゼンテーションがあった方がいいだろうと思い、ブランデーでフランベして卵黄を乗せ、中はレアな状態で提供することにしました」

目論見通り、老若男女にヒット。ムービータイムが自然と発生し、SNSで拡散されていった。「お客様が美味しそうに喜んでいる姿を直接みた時は、作曲した曲がオリコン1位を獲得した時と同じか、それ以上にダイレクトな手応えを感じました」と田辺氏は嬉しさをにじませる。

お客の目の前でハンバーグをフランベするパフォーマンスでSNSでも話題に

この商品がヒットした理由について「川岸畜産の神戸ビーフ100%で作ったハンバーグなので本質的な旨さがあり、かつノスタルジックなソースの味わいがある。結局新しいものだけでヒットは生まれなくて。脈々と続く歌謡曲のような“メロディー”が入っていることがすごく大事。タロちゃんバーグでいうソースですね。でも“衣装”は昭和のままでは売れないから、フランベするなど見せ方を工夫する必要があると思います」と田辺氏は分析する。

牛肉の質だけに頼らず、タレなど焼肉を美味しくする工夫を常に行うことが大切

2022年10月中旬には、トリプルスリーがプロデュースしたタロちゃんブランドの店舗(別会社が経営)が横浜の十日市場にオープン予定だ。「我々と一緒に焼肉という文化を発展させて、レジェンダリーな町焼肉文化を次の時代に受け継いでいきたいという思いがある方とぜひ一緒に働きたいですね。我々の会社をステップアップの場として捉えていただいて構わないので、焼肉経験者にとどまらず、料理人としてスキルアップしたい方にもジョインいただければと思っています」と直営店含め、フランチャイズ店舗も増やしていきたいと田辺氏は意気込む。

タロちゃんブランドのフランチャイズオーナーも募集中だと話す田辺氏

最後に焼肉業界をつぶさに見つめてきた田辺氏に、焼肉業界の今後について聞いてみた。

「もちろん家でも焼肉はできますが、直火で遠慮せずにエンターテイメントとして楽しむ焼肉は家ではできない。また、牛肉にはアラキドン酸の一部のアナンダマイドという人をハッピーにする成分が入っています。そんな牛肉を気のおけない仲間たちと食べながら親睦を深める焼肉は、絶対に無くならない業態だと僕は思うんですよね。

最近は『和民』さんも居酒屋から焼肉業態に転換するなど、コロナ禍で換気設備の行き届いた焼肉店の出店は相次いでいます。一方、物価高騰で輸入物の牛肉も値上がりし、国産の良い牛肉も外需の高まりで手に入りづらくなっているという懸念点があります。特に和牛の生産者さんはコロナ禍で生産量を落としてしまい子牛が減ってしまったこと、餌代の高騰でより一層牛肉を仕入れるのが難しくなることが予想されます。そのような状況下で、どのような焼肉店を目指せばいいのかを考えた時に、どんなお肉でも美味しく食べられる、美味しいタレを作ることはとても大事だと思っています。

埼玉県の熊谷などでは豚焼肉や豚ホルモンの文化が昔からあります。牛肉だけでなく豚肉を使った豚焼肉、豚ホルモンに着目するのもいいでしょう。そもそも焼肉というのは、どうやったら美味しく食べられるかを考えた庶民の知恵の産物です。美味しい肉でご飯とお酒をみんなで楽しみ、明日への活力にするというのが焼肉のあるべき姿だと考えています。その原点を忘れずに、常に『これでいいのか?』と自分を疑う視点を持てたらいいのかな、と思います」

トリプルスリーのメンバーとして“バンド活動”を行いながら、 “ソロ活動”でも焼肉業態のプロデュースや顧問、製品開発を手がけている田辺氏。「自分が関わったプロダクトが世に受け入れられて、自分の知らない人にも『アレ良いよね』と言ってもらえる状態を目指したいです」と明るく締めてくれた。

『焼肉人生タロちゃん』
住所/東京都世田谷区桜新町1-12-9 シノザワビルB1F
電話番号/03-6413-1529
営業時間/17:00(土日12:00)~15:00、17:00〜24:00(L.O.23:00)
定休日/無休

株式会社トリプルスリー
住所/〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-9-15 TCK三軒茶屋ビル3階
問い合わせ先/triplethree.0916.lnc@gmail.com

この記事は役に立ちましたか?
はい いいえ

Pocket
follow us in feedly
飲食店ドットコム通信のメール購読はこちらから(会員登録/無料)
飲食店ドットコム ジャーナルの新着記事をお知らせします(毎週3回配信)
中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。