コロナに火事、2つの危機と戦った『スナック夜間飛行』。“不死身の女”ギャランティーク和恵さん
オンライン酒場の存在が、実店舗を再開する際の助けになったと語るギャランティーク和恵さん
支えてくれる皆さんを解放したいとの思い
2023年2月3日に再開以後、実店舗の客はコロナ前の9割程度まで戻ってきた。それとともにオンライン酒場は徐々に縮小の方向である。2022年後半は週に4日、月に16日程度行っていたものを、2023年2月は月に12回程度に減らし、3月からは週に1回(月に4回)とする。
せっかくのビジネスチャンスを逃すのは惜しいと思われるが、現実と仮想空間、双方の同時の接客が難しいこと、配信者の体力の問題に加え、何よりもオンラインのお客さんを“解放してあげたい”という思いが理由であるという。
「多い人は週に4日、時間を共有していただいていたのですが、そういった方たちの夜の時間をこんなに奪っていいのかなと考えるようになりました。『応援してください』と言えば、応援し、支えてくれる人たちです。だからこそ、偉そうに聞こえるかもしれませんが、そこはもう解放してあげないといけないと思っています。実店舗に人が戻ってきたのに、まだ『支えてください』とばかりに配信を週に4日も続けるのは、それ以上のものを求めているように感じてならないのです。夜の楽しみをもっと違うことに使ってください、でも、週に1回は『夜間飛行』でつながりましょう、というのが一番いいのかなと考えました」
人と人が出会い、店と顧客が支え合う、それがスナックの良さ。その構造の中で苦難を乗り越える見通しが立ったら、それ以上の支えを求めない相手への思いこそが、スナックの真髄、王道と言えるのかもしれない。店と客が深い部分で繋がって信頼関係を持つビジネスモデルは昭和のスタイルと言えそうであるが、それが令和の時代にもしっかりと息づいているのは、ある種、感動的である。2度の危機を乗り越えられたのも、ビジネスより、そのベースとなる人との関係を重視する姿勢を持ち続けたことが最大の要因なのかもしれない。

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