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「卵価格の高騰」に飲食店はどう対応している? 東銀座『YOU』ほか人気3店の“生の声”

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ブランド卵食べ放題で人気の『喜三郎農場』

都営地下鉄三田線の千石駅にほど近い卵料理専門店『喜三郎農場』。昼は全国のブランド卵が味わえる「卵かけご飯定食(卵1個)」、「卵かけご飯御膳(卵食べ放題)」、「TKGおおまくれ御膳(卵とご飯食べ放題)」といったTKG(卵かけご飯)系が人気で、夜は鳥・豚料理とお酒が楽しめる居酒屋として利用する人も多い。

オーナーの髙木大地氏によると、卵食べ放題のメニューでは一人で6〜7個ほど消費するという。インスタ映え、あるいは贅沢感を味わうためか、ご飯一膳に何個も卵をかける客や、白身を残して黄身だけをいくつも味わう客も珍しくないそうだ。そのため卵食べ放題メニューでは利益は得られないという。

卵かけご飯御膳。食べ放題の卵には原価100円以上のブランド卵も。画像提供:喜三郎農場

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「『卵かけご飯御膳』(1,000円)と『TKGおおまくれ御膳』(1,600円)は、2か月前に1割ほど値上げさせていただきました。4月に入り、取引のあるほとんどすべての養鶏場から値上げさせてほしいという連絡が来ています。あらためて、全体的な値上げに踏み切らざるを得ないというのが実情です」(髙木氏、以下同)

全国から厳選されたブランド卵たち。画像提供:喜三郎農場

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値上げをしていないメニューもある。550円の「卵かけご飯定食」だ。

「『卵かけご飯定食』は卵1個ですから、さらに卵を追加する場合1個110円いただいています。こちらは維持していきたいですね。『TKGおおまくれ御膳』も、これ以上はちょっと値上げしにくいと考えています」

今後の見通しについて、卵の価格高騰は当分収まらないだろうと髙木氏は見ている。

「鳥インフルエンザが終息して殺処分することがなくなっても、卵が収穫できるまでニワトリが育つ期間が必要です。情報収集したところ、養鶏場を立て直すまで1〜2年要するとも聞いています」

人気メニューのひとつ、ブランド卵の「ゆうやけ卵」と甲斐路軍鶏の鶏肉をふんだんに使った「ゆうやけ親子丼」。画像提供:喜三郎農場

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逆風の中、同店にとっての好材料は「客足の伸び」だ。以前は1,500ほどだった同店のInstagramのフォロワー数も、現在は5,000を超えている。卵価格が高騰する中、消費者にとってブランド卵食べ放題が魅力的に映っているのかもしれない。 

フォロワーの増加とともに土日だけだったランチ時の行列が、平日にも見られるようになったという。これは同店が14年前にオープンして以来、初めてのこと。特に、外国人客の姿が目立つそうだ。昨年10月に訪日個人旅行が解禁となって以降、増加傾向にある外国人観光客。彼らの口コミがさまざまなネットワークを通じて、同店の魅力を広めているのかもしれない。

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タシロアキラ

ライター: タシロアキラ

大学の教育・研究の記事を中心に20年ほど紙媒体のライターとしてキャリアを重ねる。フリー転身を機に、趣味である食、スポーツ、ガジェットのジャンルでWEB記事執筆にも進出中!