「卵価格の高騰」に飲食店はどう対応している? 東銀座『YOU』ほか人気3店の“生の声”
希少な「たかはしたまご」を使った「究極のカルボナーラ」を提供し続ける『CasaBella』
東京都渋谷区、東京メトロ銀座線外苑前駅近くの『CasaBella(カーサベッラ)』は、国立競技場を間近に臨む外苑西通りからほど近い、半地下6席だけのイタリア料理店だ。人気は「究極のカルボナーラ」。埼玉県の養鶏所「たかはしたまご」のブランド卵「萌味」と「金印」を使った逸品である。
オーナー兼シェフの越川徹也氏は、「たかはしたまご」を使用するまでに10年間養鶏所に足を運んで信頼関係を築き、店舗で提供できるようになったという。
「卵はこだわりの食材のひとつ。常に新しい情報に気を配り、鳥インフルエンザのニュースも注視しています」(越川氏、以下同)
そんな越川氏は、卵の価格高騰について「これまでが安過ぎたのでは?」という主張を展開する。
「コストを抑えることに力を注ぐ一方で、食の安全や衛生面といった問題から多くの人が目を背けてきたのではないでしょうか。その結果、消費者の健康まで脅かされているとしたら……」
高品質で安全な卵を供給するためには、高騰する飼料に加え、鳥インフルエンザ対策など鶏舎の環境づくりに必要なコストも欠かせない。今年1月には、農林水産省鳥インフルエンザ防疫対策本部から「飼養衛生管理の取組状況の再確認」を求める大臣メッセージが発表された。対策への不徹底の事例が指摘されたことを受けてのものである。越川氏の懸念を裏付けるようなメッセージではないだろうか。今回の価格高騰は「卵は安くて当然」という意識が変わる節目なのかもしれない。
「たかはしたまご」の品質と安全性に絶対の信頼を寄せる越川氏は、今後値上げとなっても同社の卵を使い続け、「究極のカルボナーラ」を作り続けると断言している。
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同店は、コース料理が中心だ。素材全般の値上げを受けて3月より主力の王道フルコースは9,900円から11,000円に、至極のフルコースを16,500円に価格改定した。1日2席限定でアラカルトも再開したという。
「材料の質を下げて料金を据え置きするという選択はしません。値上げせざるを得ない場合は今後もあるでしょう。値上げさせていただく分、もっと勉強して知識を増やし、技術を磨くことで料理を究め、お店のクオリティも高めていこうと考えています」
画像を見る今なお、より美味しい「究極のカルボナーラ」のために試作を重ねているという越川氏。値上げになっても予約が絶えない人気の秘密は、こうした氏の飽くなき探究心にあるのだろう。
今回取材した3店舗に共通しているのは、客を喜ばせるための努力を惜しまないという点である。現在、卵だけではなくさまざまな原材料が値上がりをしているが、この事態が少しでも良い方向に進むよう切に願う。
『YOU』
住所/東京都中央区銀座4-13-17 高野ビル1F・2F
電話番号/03-6226-0482
営業時間/11:00〜16:30(L.O.16:00)
定休日/年末年始
席数/48
『喜三郎農場』
住所/東京都文京区千石1-23-11
電話番号/03-3943-3746
営業時間/月~金11:00〜14:30、17:00~22:00(L.O. 21:00)、
土・日・祝11:00〜16:00、17:00~22:00(L.O. 21:00)
定休日/年末年始
席数/32
『CasaBella』
住所/東京都渋谷区神宮前2-3-30 第2竹上ビルB1
電話番号/03-6804-1495
営業時間/11:30〜15:30、17:30〜22:00
※ランチは前日まで、ディナーは事前に要予約。ディナータイム2席のみアラカルトでも注文可
定休日/日曜、その他不定休
席数/6