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三鷹『ひな酉 ふじ乃』を率いる敏腕店長の仕事術。常連客づくりからスタッフ育成まで

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サク飲み派にもありがたい、カウンター席は全7席

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「社員の離職は僕のせいだ」。苦しい経験から、絆の大切さを学ぶ

満員御礼、売上好調、チームワークもばっちり! と、いかにも順風満帆だが、そんな瀧下さんにも落ち込んだ時期があったのだとか。

「右腕として活躍してくれていた社員が突然辞めてしまって。このときのことは、今思い出しても胸が苦しいです」

店長を含めた社員3名とアルバイト15名でシフトを組んでいるというから、社員が一人欠けることのダメージは大きい。

「彼が辞めたのは、僕の責任なんです。社員は当然仕事を続けるものだと思っていて、コミュニケーションをおざなりにしていました。正直言って甘えすぎていたと思います。普段から対話ができていたら、こんな結果にはならなかった。彼の退職後に開かれた社内会議で社長からもそう指摘されて、もっとできることがあったと、心から反省しました」

慢性的に人材が不足している飲食業界で、社員一人でも採用することがどれだけ大変か理解した今、瀧下さんの心にも行動にも変化があった。

「この店を選んで、僕と一緒に働いてくれることに感謝して、仲間との絆をもっと大切にしようと、このとき誓いました」

前向きで明るい表情でインタビューに応じてくれた瀧下さんだが、このときばかりは言葉を詰まらせた

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目標があるから頑張れる!『ふじ乃』が目指す姿と、瀧下さんの夢

最後に今後の展望を聞くと、瀧下さんの向上心の強さが浮き彫りになった。

「今、『ふじ乃』では“繋がり”を大切にしています。スタッフ同士や、スタッフとお客さまとの繋がりはいい感じなので、今後はお客さま同士の繋がりも育める店になっていきたい。カウンターのお客さま同士が顔見知りで、“久しぶりだね”なんて会話する光景が見たいですね」

売上を追求するだけでなく、地域に必要とされる居酒屋にしたい。こういう気持ちがあるからこそ、自然と常連客が生まれていくのだろう。そして瀧下さんは、店としての目標を持ちながら、入社前から抱いていた独立の夢も同時に追っている。

「あと2〜3年後には独立するつもりで計画を立てています。沖縄で魚と日本酒のお店をやりたいんですよね。それを目指して、この店で料理経験をもっと積みたいです」

焼鳥居酒屋でありながら、こだわりの地酒や、日本酒に合う魚料理を出していたのは、こうした背景があってのことだろう。

「社長におねだりして、日本酒専用の冷蔵庫を買ってもらいました。日本酒好きのお客さまも喜んでくれていますよ」

瀧下さんの挑戦を応援する、社長の心意気を感じる。

店が目指す姿も、自分自身の夢も、どちらも明確だからこそ、毎日の業務一つひとつに意味を見いだせる。瀧下さんのモチベーションの高さは、こうした理由があったのだ。『ひな酉 ふじ乃』のこれからも、瀧下さんの将来も、楽しみでならない。

『ひな酉 ふじ乃』
住所/東京都武蔵野市中町1-15-5 三鷹ノースヒルズ 1F
電話番号/0422-56-8441
営業時間/17:00〜24:00(L.O.23:00)
定休日/日曜
席数/33

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松本ゆりか

ライター: 松本ゆりか

東京でWebマーケターを経験した後、シンガポールへ渡りライフスタイル誌やWebメディア制作に携わる。帰国後、出版社勤務を経てフリーライターに。主に中小規模ビジネスや働き方に関する取材・執筆を担当。私生活ではひとり旅とはしご酒が好きなごきげんな人。