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販売チャネルの多様化で15坪月商1,100万円! 『本格餃子 包』の成長戦略

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石野智之社長は中野坂上の中華料理店『天鳳』(現・『中華dining天鳳』)が実家であり、自身も中華食堂で修業を重ねた経験を持つ。MINORUでは外食業とアパレル事業を手掛けている

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「皮から仕込む餃子」が業態開発の出発点

2023年5月のイートインの時間帯別売上構成比率を見ると、ランチ24%、ディナー55%。ディナータイムのアルコール売上比率は30%を確保している。

昼は中華食堂、夜は中華酒場として幅広い時間帯で集客し、販売チャネルの多様化にも成功した『本格餃子 包』の業態開発のポイントは何だったのか。石野社長は「『皮から仕込む餃子』が業態開発の出発点。餃子のクオリティを追求し、それを核としたネオ中華食堂のスタイルを確立したことがうまくいった」と説明する。

「業態転換前は餃子酒場でしたが、競合が激しいこともあってコロナ禍前でもやや苦戦していました。ただ、その店で提供していた餃子は私の実家でもある中野坂上の『中華dining天鳳』の商品を使っていましたから、品質そのものには自信がありました。その商品力をさらに磨くためにはどうすればいいか、それを突き詰めていった時、『餃子専門店でも皮から手作りしている店はほぼない』ことに気付いたんです」

店頭に設置された餃子製造の作業ブース

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『本格餃子 包』の看板メニューは焼餃子と水餃子で提供する「本格手打餃子」(780円)。1個55gのジャンボサイズの餃子を専任スタッフが皮から店内で仕込み「品質追求はもちろんですが、外食店ならではの体験価値を提供することが餃子の店内製造を採り入れた一番のポイントでした」と石野社長は説明する。

皮を手打ちし、餃子を手包みする作業ブースを店頭に設置して手づくりをアピール。「作業ブースは通行する方々の目を引きます。コロナ禍で外食ができない分、テイクアウトに付加価値を求めるニーズが高まっており、オープン時からテイクアウト売上が好調でした」と石野社長は言う。

店の規模は15坪30席。白い壁には店のロゴと餃子を象ったネオン管が光る(写真提供:MINORU)

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店舗デザインのテーマは「町中華 × ストリートカルチャー」

『本格餃子 包』が希有な点は、中華食堂と中華酒場としての業態特性を併せ持ち、さらにテイクアウト・デリバリーニーズにも対応していること。このマーケットポジションを確立するために、店舗デザインとメニュー構成というふたつのアプローチで工夫を凝らしている。

「店舗デザインのテーマは『町中華 × ストリートカルチャー』です」と説明するのは『本格餃子 包』の業態開発の手がけたRivermouthの長谷川健社長だ。

業態開発を手がけたブランディングエージェンシーの株式会社Rivermouthの長谷川健社長。石野社長とは長年の付き合いがあり、サーフィン仲間でもある

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店舗デザインの下地は中華食堂。赤、黄、白を基調色とした店内に赤い飾り紙など中華食堂らしいインテリアで装飾している。その中で目を引くのが店内の壁に光るネオン管だ。店のロゴと餃子を象ったネオン管デザインは、ストリートアート作家のEND氏の手によるものである。

「世代に関係なく中華食堂のニーズはあるはずなのですが、若い女性が利用しやすい中華食堂というのはほとんどありません。ストリートカルチャーを取り入れた店舗デザインによって『若者が普段使いできる中華食堂』と印象付けることを狙いました」(長谷川社長)

中華酒場の雰囲気を創出することにもつながっているネオン管の飾りだが、「やりすぎるとネオ大衆酒場のように受け止められ、客層が絞られてしまいます。中華食堂としての利用動機も吸収できない恐れがありますから、インテリアのバランスには検討に検討を重ねました」と長谷川社長は言う。

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。