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“超”ドミナント経営で月商1,100万円。三茶の呑兵衛が集う人気酒場『いざかや ほしぐみ』

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ある日のメニュー。ワインのラインナップはエチケットデザインや味わいのわかりやすさを重視し、初心者でも選びやすいよう工夫

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既存店の弱点をカバーしながら、新たな客層を取り込む新店づくり

加えて、展開する三店舗それぞれにサブネームを設け、少しずつ異なる過ごし方を提案するのも『ほしぐみ』ブランドの特徴といえるだろう。たとえば本店『いざやか ほしぐみ』はレトロな大衆酒場のにぎやかさを、二号店『ほしぐみ フライドキッチン』は串揚げをメインメニューに立ち飲みの気軽さを打ち出し、三店目の『いざかや ほしぐみ新館』ではビルの二階という立地を逆手に取り、隠れ家感を演出する。無論、同一コンセプトで横展開することも可能だったはずだが、なぜそうはしなかったのか 。

『ほしぐみ フライドキッチン』では、立ち飲みスタイルで串揚げを提供

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「正直、流れの中で最善策をとった結果、こうなったという感じです。二号店の出店を決めた当初は、場所が本店の斜向いということもあり半ば増築のようなイメージでいました。実は本店の厨房が手狭でフライヤーを置くスペースを設けられず揚げ物の提供ができていなかったので、二号店で串揚げをメインにすればそれが強みになるし、本店の弱点も補えるなと考えたんです。さらに立ち飲みにしたことで、本店で取りこぼしていた一人飲み客の受け皿にもなっています」

やや距離が離れた三号店のオープンの際には新たな屋号での出店も一案だったというが、「再び一からブランドを育てる労力やリスクを鑑みれば、やはり同一屋号での展開が良策だという結論に至った」と柳生氏は振り返る。ただし、既存の二店とは異なり路地裏の二階という“わかりにくい”場所に位置するため、それが最大の魅力となるよう店舗設計をアレンジ。ゆったりと過ごせる空間づくりや、よりSNSを意識したメニューで差別化したことで、落ち着いて飲みたいという客や女性客から支持を得た。結果、二つの既存店とは異なる客層や需要を取り込むことに成功したわけだ。

『いざかや ほしぐみ新館』は路地裏のビルの二階。接客も落ち着いてできるため、新メニューの試験導入などもしやすいそう

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「異なるシチュエーションを提案することで純粋にお客様の幅は広がりますし、一人のお客様にいろいろなシーンで使い分けてもらうこともできる。もちろん、一つの店舗が満席でお断りせざるを得ない時にはほかの店舗に案内することもできるので、機会損失も減らせます。だからこそ、お客様が期待したものはどこでも召し上がっていただけるよう、看板メニューをはじめ半数ほどの人気メニューは全店舗で共通して提供しています」

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山本愛理

ライター: 山本愛理

フリーライター・エディター。WEBを中心に食にまつわる記事を執筆。 昔ながらの喫茶店から星付きレストランまで、美味しいものを通して幸せな時間を提供してくれる人の声と熱を届けるのが好き。空いた時間はもっぱらカフェ巡り。