『初場所 中目黒』50席が昼も夜も満席! 現代版「普通の居酒屋」成功の道筋
手づくりを徹底しながら、提供スピードにもこだわる
メニューは、定番40~50品と季節のおすすめ5品程度。冷奴やマグロの山かけ、から揚げなど酒場の定番が中心で、目新しいメニューはない。吉利氏のメニュー作りのセオリーは、「説明しなくても誰でも知っている料理」にすることと、「お客との接点を最小限にして、早く提供すること」、そしてあえて謳わないが「手作りにこだわる」ことだ。
「うちでは魚を捌けないと仕事にならない」と吉利氏が言うように、魚はもちろん、肉を塊から切り出す、野菜を洗って切る、といった調理の基本から手作りを徹底し、ソース類もほとんどが自家製だ。さらに、こうした一連の調理作業に関しては、共同経営者である加藤氏が監修を担当しており、共同経営のメリットが発揮されている。
一方で、「早く提供する」を実現するため、ツーオーダーで作る料理と仕込み置きする料理のバランスにも気を配る。これは『初場所 中目黒』に限らず近藤商会が全店共通で意識していることで、例えば1週間で豚肉100キログラムを使い切るという人気メニューの「豚の角煮」は、スチコンで火入れしたあと、一皿分に切った肉を煮汁と一緒に小袋に分けて保温。オーダーごとに温めて提供するといった具合だ。
連日ランチが3回転。和食の定食ニーズを掴む
こうした手づくりの料理の美味しさが評判となり、『初場所 中目黒』は夜が1.5回転なのに対し昼は連日3回転という人気ぶりで、売上的にもランチが占める比重が大きい。
「ここから池尻大橋にかけて小さなオフィスがたくさんあるので、ランチのニーズが高いことは確信していました」と吉利氏。なかでも和食の定食屋、しかも大人数で入れる店となると界隈に競合はほとんどない。夜も定食目的のお客が多く、夜の客単価が下がってしまうという課題はあるものの、リピーターが多くコンスタントな売上に繋がっている。
