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『初場所 中目黒』50席が昼も夜も満席! 現代版「普通の居酒屋」成功の道筋

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「豚角煮」(890円) ※写真提供/近藤商会

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手づくりを徹底しながら、提供スピードにもこだわる

メニューは、定番40~50品と季節のおすすめ5品程度。冷奴やマグロの山かけ、から揚げなど酒場の定番が中心で、目新しいメニューはない。吉利氏のメニュー作りのセオリーは、「説明しなくても誰でも知っている料理」にすることと、「お客との接点を最小限にして、早く提供すること」、そしてあえて謳わないが「手作りにこだわる」ことだ。

「うちでは魚を捌けないと仕事にならない」と吉利氏が言うように、魚はもちろん、肉を塊から切り出す、野菜を洗って切る、といった調理の基本から手作りを徹底し、ソース類もほとんどが自家製だ。さらに、こうした一連の調理作業に関しては、共同経営者である加藤氏が監修を担当しており、共同経営のメリットが発揮されている。

一方で、「早く提供する」を実現するため、ツーオーダーで作る料理と仕込み置きする料理のバランスにも気を配る。これは『初場所 中目黒』に限らず近藤商会が全店共通で意識していることで、例えば1週間で豚肉100キログラムを使い切るという人気メニューの「豚の角煮」は、スチコンで火入れしたあと、一皿分に切った肉を煮汁と一緒に小袋に分けて保温。オーダーごとに温めて提供するといった具合だ。

定食メニューは常時6~7種類(各1,100円)で、終日注文可能 ※写真提供/近藤商会

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連日ランチが3回転。和食の定食ニーズを掴む

こうした手づくりの料理の美味しさが評判となり、『初場所 中目黒』は夜が1.5回転なのに対し昼は連日3回転という人気ぶりで、売上的にもランチが占める比重が大きい。

「ここから池尻大橋にかけて小さなオフィスがたくさんあるので、ランチのニーズが高いことは確信していました」と吉利氏。なかでも和食の定食屋、しかも大人数で入れる店となると界隈に競合はほとんどない。夜も定食目的のお客が多く、夜の客単価が下がってしまうという課題はあるものの、リピーターが多くコンスタントな売上に繋がっている。

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笹木理恵

ライター: 笹木理恵

飲食業界専門誌の編集を経て独立。スイーツ・パンからフレンチ、ラーメンなどまで、食のあらゆるジャンルを担当。飲食専門誌を中心に、一般雑誌やWEB、書籍などで活動している。「All About」「Yahoo!ニュース個人」でも執筆中。 https://foodwriter-rie.com/