「飲む・食べる・買う」を満たす三軒茶屋『NUPURI』。ワインを起点とした3業態の一体化
「軽く一杯」から「食事と一緒に」、はたまた「買うだけ」まで、ナチュラルワイン好きのあらゆるニーズを満たす店が今年の6月、三軒茶屋に誕生した。それが、角打ちワインスタンド、レストラン、ワインショップの3つの顔を持つ『NUPURI(ヌプリ)』だ。マネージャーの伊藤香菜氏とシェフの小淵卓也氏に、ワインを中心にした店づくりについて詳しくうかがった。
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4者が意気投合して生まれた、ナチュラルワイン好きのための新業態
「ナチュラルワイン(以下「ナチュール」と表記)」。それは今や日本の飲食業界において欠かすことのできない市場のひとつになった。酒離れが叫ばれる若い世代にも広く受け入れられ、サクッとアペロ、じっくりペアリング、さらには手土産やホームパーティーの差し入れまで、あらゆるシーンで存在感を発揮する。
そんなナチュールを軸に、「飲む・食べる・買う」のすべてを兼ね備えるのが『NUPURI』だ。三軒茶屋の閑静な住宅街に建つ全面ガラス張りの店の中央には、1,500種以上をラインナップするセラーをショップインショップとして構え、手前は明るい時間から利用できるカジュアルなワインスタンドに、奥は重厚感あるシックなカウンターレストランに仕上げている。
「点と点が、うまく一本の線でつながったんです」
そう語るのはマネージャーの伊藤氏。前職からの同志であるシェフの小淵氏に彼女が声をかけたのが、『NUPURI』の始まりだという。そこにプロデューサーとして加わったのが、学芸大学でクラフトビールとスペシャルティコーヒーの『WR.』を手がける渡辺直也氏。さらに、交流があった自然派ワインショップ『THE WINE SHOP.TOKYO』の4者が意気投合し、3つの業態が一体化した、これまでにない“ワイン好きのための店”が生まれた。
ワインを起点に客を“シェア”し、互いの裾野を広げる
オープンから半年、実際に飲食だけの店とは違った客の広がりがあると伊藤氏は話す。
「どんなにたくさんのワインを扱いたくても、通常、飲食店で大きなセラーを備えるのは敷地や予算の面から限界があります。でも、ワインショップが入ればその課題は解決しますし、もともと『THE WINE SHOP.TOKYO』さんはオンライン販売のみだったので、実店舗を持てば直接お客様へアプローチする機会ができる。それぞれの強みを活かしながら足りない部分を補い合い、さらにお客様をシェアできていると感じます」
本来なら、飲食と物販は目的が異なるため、客はそれぞれに合った店に個別に足を運び、それぞれで目的を果たすだろう。だがその両方がある『NUPURI』では、食事をしに来た客がワインを購入して帰ったり、ワインを買いに来た客がせっかくだからと一杯飲んでいったり、初めはアペロに訪れた客が次はディナーで再訪したり。「ナチュラルワイン」を起点に、さまざまなアクセスが可能というわけだ。
店内で楽しめる銘柄は伊藤氏がセレクト。『THE WINE SHOP.TOKYO』のほか『ウィルトスワイン』(東京・渋谷)からも仕入れ、常時グラスで20種類以上をラインナップする。また、3,300円〜で好きなボトルの抜栓にも応える。
