月商520万円を売る西荻窪『スタンドキッチン ルポン』。“立ち飲み×中華ビストロ”という最適解
飲食店の店舗リニューアル。その目的は事業拡大から改装までさまざまだが、2023年に4.5坪の狭小立ち飲み店から17坪の“本格中華ビストロスタンド”へと舵を切った『スタンドキッチン ルポン』は、1年を経たずして月商520万円を上げる好調ぶりだ。移転リニューアルし、中華ビストロを掲げた狙いについて、オーナーの鈴木秀輔氏にうかがった。
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客の満足度UPと将来を見越し、移転リニューアル
さまざまなエリアで再開発が進む、東京都心。昔ながらの飲食店街が次々と現代のスタイルへと生まれ変わっていく中で、西荻窪駅南口前には今もなお、かつての闇市の風情が息づくディープな酒場通りが残る。老舗の大衆居酒屋からメキシコ、タイ、台湾料理店まで小バコの酒屋がジャンルレスに密集する様子は、まさに“混沌”。しかしそこに根付く気さくなコミュニティこそ、西荻が世代を超えて呑んべえたちに愛され続ける理由の一つだろう。
そんな酒場通りの一角にあった4.5坪の立ち飲み店『スタンドキッチン ルポン』が昨年3月、数メートル先に場所を移し、17坪の敷地にテーブル席を備えた“中華ビストロスタンド”として移転リニューアルしてから、まもなく1年が経とうとしている。前店舗では月商170万円を上げることもあったというほど繁盛していたにも関わらず、リニューアルに至ったきっかけをオーナーの鈴木氏に問うと、「自分やお客様のライフステージの変化を含め、将来的な可能性を見越すと、先々に動き出しておく必要性を感じた」と振り返った。
『スタンドキッチン ルポン』は、同じく西荻窪にある『ビストロキッチン ルポン』の姉妹店として2017年にオープンした。通りには時代を感じさせる店が軒を連ねる中、スタイリッシュな店構えや鈴木氏が作る美味しい料理と酒、さらにはその親しみやすい人柄も相まって、若者から働く世代にまで高い支持を受け、3年ほどで坪月商50万円を超える人気店に。一方で、客の輪が広がるにつれて、限られた席数と設備での対応の難しさにもどかしい気持ちも感じていたと鈴木氏は語る。
「西荻の飲み屋街は特に常連客が多い。リピーターの方が増えたり、お客様が紹介してくれたりして、たくさんの方に来ていただくのはすごく嬉しかったんですけど、立ち飲みという性格上、客単価はせいぜい1,000円ちょっと。しかも立ち飲みは回転がモノをいうにも関わらず、オーダーが重なると提供スピードにどうしても限界が出てしまいました。お客様の満足度の向上と現実的な自分の労働環境の整備を考えると、いい物件と仲間が見つかれば拡大したいという考えは早い段階からありましたね」
さらに、結婚や昇進など、当時の常連客の今後のライフステージの変化も見越し、よりメニューや利用シーンの本格化・充実化を図りたかったのだという。リニューアル後は、入口付近に立ち飲みスペースを残しつつ、ハイカウンターやテーブル席を設け、デートや食事会、宴会需要にも対応できるよう万全の体制を整えた。
