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門前仲町『大衆酒場 坂本商店』、リニューアルで月商400万円を800万円に。快進撃の舞台裏!

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話していると非常に気さくだが、経営者としての熱い魂を端々に感じる

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21歳で、あてもなく京都のバーに飛び込む

坂本氏が飲食店の経営者を志すことになった最初のきっかけは、祖父の仕事だという。

「祖父が貿易業をやっていたという話を聞いて、子どもの頃から『何か商売をやりたいな』と漠然と思っていました。高校卒業後に東京の焼き鳥店でアルバイトしていたのですが、どうせやるならしっかり勉強したいと思い立ち、京都の店で働こうと引っ越しました。京都に決めた理由は、サービスのいい店が多そうだと思ったから。結果的によかったですが、無計画でしたね(笑)」

あてもなく京都に飛び込んだ坂本氏はしばらくして、京都・河原町のバー『ノスタルジア』で6年ほど働くことになる。

「コミュニケーション能力が圧倒的に鍛えられましたね。バーテンダーはドリンクを提供するのと同時に、お客様と会話をするのも仕事のひとつですから。その経験は会社の代表としての営業力につながっていると感じています」

『ノスタルジア』を退職後、東京に戻った坂本氏は日本酒に関連するベンチャー企業に転職。社内プロジェクトで運営していたバー『CRAFT COCKTAIL TOKYO』を任されることになる。その2年後の2019年7月には、バー2店舗と立ち飲み屋の運営を業務委託として引き継ぐ形で独立。2020年12月にUPSTART TOKYOを起業し、2021年1月からは『大衆酒場 坂本商店』の前身となる『祭酒場 斎藤商店』を、M&Aによる事業継承を経て運営し始めた。

「『祭酒場 斎藤商店』のすぐ近くには深川不動堂という寺院があり、参拝客が来店してくださることも多く、街と関連性のある居酒屋っていいなと痛感しました。同時に、こういう地元の飲食店をスケールアップさせていけば会社の成長にもつなげやすいと思ったんです」

その後、委託元のすべての株式を取得して運営していた店舗を直営店に。本格的に経営者としての道を歩み始める。

「この頃にはバーだけではなく、飲食業界全体の魅力を多くの人に伝えたいと思うようになっていました。飲食店で働きたい人も増やしたいので、飲食業の底上げもできればなと思っています。そのためには会社を大きくすることが先決。待遇をよくして優秀な人材を集めようとしているのも、会社の成長のためです」

『富岡一丁目の夕陽』の女将と旦那。二人を目当てに来店するファンも多い

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ひとつのブランドだけにこだわらない理由

『大衆酒場 坂本商店 門前仲町店』のほど近く、2023年末にオープンした『富岡一丁目の夕陽』も順調なスタートを切っている。

「徐々にリピーターも増えてきましたし、まだまだ伸びしろを感じています。リピート率を上げられているのはカウンター越しに接客する女将と旦那の魅力も大きいでしょうね。二人共まだ若いですし、店と一緒にどんどん成長していってもらいたいです」

3月には森下エリアに鮮魚を扱う『美麻商店』、4月には門前仲町に広めの立地の別業態もオープンするという。だが、好調な『坂本商店』ブランドでチェーン展開を積極的に進めない理由とは何なのか。

「江東区に『坂本商店』が何店もあってもパイの取り合いになってしまいますし、仮にいい物件が見つかっても立地や広さなどが『坂本商店』に適していないと100%の経営はできないと思うんです。それなら違うパターンで出店しようと考えたのと、いろいろな業態の店があったほうが経営するうえで楽しいだろうな、という個人的な考えも少し反映してます」

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松嶋三郎

ライター: 松嶋三郎

フリーランスのライター。堅いネタから柔らかいネタまで、週刊誌やビジネス誌など紙・Web問わず多数のメディアで執筆中。「書く記事はジャンルも内容も媒体も食わず嫌いしない」がモットー。 https://twitter.com/matsushima36