おでん食べ放題“550円”の『呼炉凪来』。人気爆発、出店拡大の理由はコスパだけにあらず
コロナ自粛の真っ只中の2022年3月、人々の心の声を代弁するかのような店名を掲げて西新宿に誕生した『炉端とおでん 呼炉凪来(コロナギライ)』。TikTokを中心にSNSで大バズり、食べログの「新宿で人気の居酒屋ランキングTOP20」で1位(※2024年3月時点の情報)を獲得するなど、若い世代の注目を集める超人気店だ。ヒットの理由はお通しの「おでん」が550円で食べ放題という圧倒的なコストパフォーマンスだけではない。
運営は『炉端とおでん 呼炉凪来』の他に7ブランドの飲食店を展開する株式会社FOOLISH。店舗開発の中心人物である取締役副社長の森健太郎さんに、話題性と高収益を両立する強い業態をどのようにして生み出したのか、その戦略を聞いた。
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お手本は記者会見? 撮影&拡散を見越したキャッチーなポイントづくり
「これまでの集客施策は大手グルメサイトの広告に頼りがちでした。しかし今はグルメサイトの種類が増え、どのサイトを利用するかもお客さまによってバラバラです。“グルメサイトで行きたい店を探す”のではなく、“SNSで気になった店をグルメサイトで指名検索して予約する”というように、活用方法も変化しています。さらにいえば、グルメサイトを経由せず、グーグルやSNSから直接予約が入るようにもなってきました。だからこそ、これからの時代は話題性の創出が重要だととらえています。TikTokのバズはあくまで結果論です。僕らが考えた“口コミしたくなる店づくり“が、若い世代にうまくはまったんだと思います」(森さん、以下同)
同店ならではのキャッチーなポイントをつくり出している点が実にうまい。たとえば、流行りのセントラルキッチンから着想を得たという、店内中央に鎮座するおでん屋台風カウンターだ。ここにも、口コミ拡散を促す細かい工夫が散りばめられている。
「屋台に下がっている提灯、実はオペレーションを考えるともう少し高い位置の方がいいのですが、お客さまが座って写真を撮るにはこの高さがベストなんです。スマホを縦に構えて広角で撮影すると、ちょうど提灯のロゴまでしっかり入ります」
そのほかエントランスでは目線の高さにおしゃれなロゴ入り看板を設けるなど、撮影時の見栄えを意識して店舗デザインを練り上げたという。もちろん、こぼれるイクラが印象的な「銀鮭いくらおろしがけ」(528円)といった、思わず写真に収めたくなるメニューも積極的に開発している。
「記者会見で企業ロゴ入りの背景を用意してPRするのと同じように、『ここが撮影どころですよ!』とお客さまに無言のアピールをしています。すると自然と写真に収めてくれて、なかなかいい写真や動画が撮れるので、撮って終わりではなく投稿もしてもらえるんですよ」
