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新店・虎ノ門『ランパダ』も絶好調のダルマプロダクションに学ぶ「コンセプトメイク術」

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『ランパダ』では生ハムを、揚げたてのニョッコフリット(揚げパン)と「ランブルスコ」に合わせるイタリア中部地方のスタイルを提案

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渋谷『ペタロ』は坪月商36万円! トレンドよりも「かゆい所に手が届く店」を目指す

2018年には「渋谷ストリーム」内に『Petalo(ペタロ)』をオープン。ここは「リーシングが難しい区画で面白い店を作るのが好き」という古賀氏の強みが発揮されたお店の一つでもある。

「すでに施設内には王道のイタリアン、スペイン料理の出店が決まっていて、先方からは『バルでもない渋谷らしいお店を作って欲しい』と依頼を受けていました。僕は昔から、エミリア・ロマーニャ州によくあるプロシュッテリアをやりたかったんですよ。プロシュッテリアは、生ハムやサラミ、ソーセージなどをお酒と共に10ユーロ程度から楽しめるキオスク的なお店で、0次会から3次会まで使えるなどシュチュエーションも幅広い。やるなら人の流動が激しい、繁華街の駅前立地がいいと思っていたので、今回のロケーションはピッタリだと思ったんです」

33坪という店舗の広さも好都合だったという。輸入品の生ハムは日本に来る段階で値段が高くなってしまう、利益を出すためにはたくさん仕入れなくてはならない。そのため店舗規模が大きいことが大事になってくる。

また、イタリアンに大衆酒場要素も加え、メニュー表は前菜、パスタ、メインなどのカテゴリ分けをせず、生ハム以外を一覧で掲載。「メインを頼んだほうがいいのかな?」といったお客側の負担をなくし、使いやすさを追求した。

さらに、団体客利用ではなく少人数のカジュアル利用を促すため、カウンターメインのレイアウトとした。古賀氏の目論見通りプロシュッテリアの自由さが受け、33坪70席で客単価約4,200円、坪月商36万円を記録。「トレンドよりも、かゆい所に手が届く店作りが大切なのかと思います」と古賀氏は振り返る。

ドリンクは、ワインのほか古賀氏の故郷・佐賀県の銘柄日本酒や、オリジナルサワー、クラフトジン、焼酎も揃えるなどネオ洋食酒場の様相を呈す『ランパダ』

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イタリアン需要を捉え「おつまみピッツァ」を発明した福岡『ディスコ』は坪月商42万円

2022年4月には福岡の「天神イナチカ」内に『Pinseria Disco(ピンセリア ディスコ)』をオープン。オファーの際に「『ペタロ』のようなお店を出してほしい」と依頼されたが、生ハムをウリにしつつも違うことがやりたいと古賀氏は考えた。

「まず、福岡の人たちが取っ付きやすいようにピッツァがいいと考えました。けれど一般的なピッツァだと重たくてお酒を飲みながら、ちょっとずつたくさんのメニューを頼んでもらうのは難しい。そこでピッツァよりも加水率が高くて小麦粉の含有量も低く、口当たりが軽くてカロリーも低いローマのピンサにしようと思いつきました。ピンサはフォカッチャとピッツァの中間のような食べ物で、工夫次第でおつまみにもなる。一般的なピッツァの1/3サイズにして、おつまみピッツァとして売り出しました」

古賀氏は九州出身だったということもあり、社内には多数の九州出身メンバーが在籍していた。ちょうど新店オファーの際、ダルマプロダクションで働いていた幼馴染から「子どもが生まれたので、九州に帰りたい」と相談を受ける。彼に新店の店長をオファーし、あわせて社内の九州出身者に声をかけた結果、見事に立ち上げメンバーが集まった。

オープンしてみると福岡には意外にも本格的なイタリアンのお店が少ないからか、想定以上にしっかり食事を楽しむお客が多かったという。現在13.7坪、35席で、客単価約3,700円、坪月商約42万円を叩き出している。

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。