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新店・虎ノ門『ランパダ』も絶好調のダルマプロダクションに学ぶ「コンセプトメイク術」

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V字型の店舗をうまく使い、カウンター席、奥に生ハムスライサーとテーブル席を配置し、通行客の目を引く造りにした『ランパダ』

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リピート商売を見込み「イタリアン+酒場」と間口を広げた『Lampada』をオープン

2024年1月には、『虎ノ門ヒルズ ステーションタワー』内に『Lampada(ランパダ)』をオープン。デベロッパーからは「エレベーターを登ってすぐの立地なので、賑わいを演出できる気軽で使い勝手の良いお店を作って欲しい」と依頼を受けた。それならばと生ハムをスライスしている様子を、通行人からも見えるお店にしつつ、新しいことにチャレンジしようと古賀氏は考えた。

虎ノ門エリアのニーズについて「視察して感じたのは、オフィス人口は多いけれどマーケットの枠が広いわけではないこと。そのためリピート商売になると思ったんです」と古賀氏は分析。そこで『ペタロ』のような業態ではなく、居酒屋のように間口を広げたほうがいいと考えた。

一方で「虎ノ門は飲食リテラシーが高い人が多いと感じたので、チャレンジングなメニューも受け入れられるだろうと考え、和洋折衷なイタリア居酒屋をコンセプトに据えました」と語る。

右手前から時計回りで「生ハム」(650円〜)を乗せた「ニョッコフリット(揚げパン)」(1個300円)、「肉おでん 大根とフォアグラの味噌ソース」(1,400円)、「駿河湾桜エビ・菜の花・カラスミのオイルソース リングイネ」(1,480円)

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すでに『アカベコ』で創作和食を展開していたが、今回は醤油やわさびを使うところまで和洋折衷な内容にチャレンジした。イタリアおでんともいえる肉の出汁で作る「ボリートミスト」も、和食の調味料で変化をつけた。

虎ノ門の商業施設店舗ということで、あらかじめ客単価は7,000円を想定していた古賀氏。「7,000円いただくためには、1,000円超えのメニューを置く必要がありました。そこで肉おでんは『あかべこ』では盛り合わせにしていましたが、それだと値段が高く見えてしまうので、一品提供に変えています。注文しやすくして、食べた後は満足してもらうことで値段の部分は気にならなくなると考えました」と値付けの工夫について明かす。

「洋食酒場がしっかり成り立つのは、締め料理のクオリティ」と古賀氏は語るように、パスタのレベルも土鍋ご飯のレベルも高い。

13.5坪、36席で現在客単価は想定通りの約7,000円。あっさりした日本のおでんではなく、温菜のようなパンチのあるおでんのため、ドリンクの注文率も良い。

「ランブルスコ」(グラス650円、デキャンタ500ml 2,400円)。カップとデキャンタはオリジナルデザインの有田焼

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「何をどういうシュチュエーションで食べるとおいしいか」を業態作りの時点で作り込む

さまざまな人気店を送り出してきた古賀氏に、コンセプトメイクのコツを尋ねると「何をどういうシュチュエーションで食べるとおいしいと人々は感じるのか、業態作りの時点で作り込むことですね。再来店を重視し、メニュー内容を考えています」と返ってきた。

特に洋食酒場に挑む場合は「洋食酒場は必要ないと思われているという前提で、居酒屋で物足りないことは何かを考えることが大切だと思います。日本人だから日本のものの方がしっくり来るのが当たり前で、しかも今は和食酒場でもレバーペーストやナチュラルワインが味わえます。そんな彼らにできないものは何か。流行を追うのではなく、長くお客さまに使ってもらえるコンテンツをしっかり作ることが大切だと思います」と助言してくれた。

2025年夏頃には浜松町エリアへ、生ハムメインの路面店も出店予定のダルマプロダクション。次回はどんな一手で挑むのか、今から楽しみだ。

『Lampada(ランパダ)』
住所/東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー4F
電話番号/03-6206-6286
営業時間/ランチ11:00〜14:30(L.O.14:00)、ディナー17:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日/なし(施設に準ずる)
席数/36
http://darumapro.co.jp/
公式Instagram

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中森りほ

ライター: 中森りほ

グルメ系ウェブメディアの編集・ライターを経てフリーライターに。フードアナリストの資格を持ち、現在マガジンハウス『Hanako.tokyo』や徳間書店『食楽web』、ぐるなび『dressing』、日経『大人のレストランガイド』などで飲食店取材記事や食のエッセイを執筆中。