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狙うは3店連続の月商1,000万円超え。恵比寿のネオ大衆酒場『ひまり堂』のメニューを徹底解剖

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固定概念に縛られず、自由な発想でおでんの商品価値を高める

『ひまり堂』のフードメニューは65品揃えており、中心価格帯は300~500円台。フードメニューが40品である『つむぎ堂』と比べ、今回の『ひまり堂』では大幅に商品数を増やしているが、おでんをフードの柱にすることでキッチンオペレーションの負担軽減を図る。

フードはおでんをメニューの柱として65品をラインアップ。おでんは単品を13品に絞り込む一方、定番料理を一捻りしたつまみメニューの品揃えを充実させている

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おでんは単品13品と盛り合わせ2品を揃え、価格は単品が250~400円(税込275~440円)、盛り合わせが税抜1,000~1,480円(税込1,100~1,628円)。おでんダネは種類を絞り込みながら、一品一品に独自の工夫を凝らしていることが特筆される。

たとえば、定番のおでんダネである玉子はメニューから外しており、代わりにおでん出しに漬け込んだ「半熟たまご」(275円)と「だし巻き玉子 鬼おろし」(308円)をオンメニュー。売れ筋のダイコンは「大根 とろろ昆布」(275円)、「牛しゃぶ大根」(440円)とトッピングの変化によってメニューバリエーションを広げている。

「はんぺん、ちくわといった定番ネタは既製品を使わざるを得ず、差別化を図りにくいことから思い切ってメニューから外しました。その上でとろろ昆布、鬼おろし、カツオ節と、おでんダネごとに付合せを変え、料理を見栄えよく仕上げるなどして商品価値を高めています」(村野氏)

おでん鍋で加熱し続けるおでんダネは7種のみで、その他の料理はおでんだしに漬け込み、冷蔵してスタンバイ。従来のおでんの提供スタイルに縛られない発想で独自性の高い商品を開発した

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また、おでんは盛り合わせに注文が集中することから、「おまかせ6個盛り合わせ」(1,628円)はおでんダネを器に盛った状態でスタンバイ。注文後の調理をリヒートとトッピングの盛り付けのみにし、クイック提供できるようにしている点も見逃せない。

「おまかせ6個盛り合わせ」(1,628円)。おでんの盛合せはおでんダネを器に盛った状態でスタンバイしておき、注文後の調理をトッピングの盛り付けのみにしている(画像提供:LINK STYLE)

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『つむぎ堂』と『ヒロキ倶楽部』のノウハウをメニュー開発に活かす

おでんを除いたフードメニューは『とりあえず。』、『肉刺し。』、『逸品。』、『揚げもん』、『〆。』、『甘。』の6カテゴリー別に50品を揃え、「ひまり堂のポテサラ」(550円)、「和牛のユッケ」(1,078円)、「牛もつ煮込み」(770円)の3品が名物メニュー。メニューの随所で『つむぎ堂』と『ヒロキ倶楽部』で蓄積されたノウハウが活かされており、ポテサラとユッケも『ヒロキ倶楽部』の名物メニューである「倶楽部のポテサラ」(748円)、「ねぎ塩和牛ユッケ」(1,628円)をアレンジした商品だ。

「ひまり堂のポテサラ」(550円)。『ヒロキ倶楽部』の名物メニューである「倶楽部のポテトサラダ」をアレンジしたメニューだ(画像提供:LINK STYLE)

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『ひまり堂』の業態づくりで『つむぎ堂』、『ヒロキ倶楽部』と大きく異なるのがターゲット設定だ。『つむぎ堂』と『ヒロキ倶楽部』は20代後半〜30代前半が主客層なのに対し、多店化を見据えた『ひまり堂』では全世代がターゲット。「幅広い層のニーズを吸収するため、メニュー幅を広げる必要があった」と村野氏は説明する。

「和牛のユッケ」の単品原価率は55%。値頃感を打ち出すため、税抜価格を980円(税込1,078円)に設定した(画像提供:LINK STYLE)

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栗田利之

ライター: 栗田利之

フリーランスの記者として、15年以上にわたって外食経営誌の記事を執筆。大手、中堅の外食企業や話題の繁盛店などを取材してきた。埼玉県下を中心に店舗網を拡げている「ぎょうざの満洲」が贔屓の外食チェーン。